人は勘定より感情で決める
                    ~“直感のワナ”を味方に変える行動経済学7つのフレームワーク 
                  
                  
                  - 柏木吉基 著
 - 定価
 - 1,628円(本体1,480円+税10%)
 - 発売日
 - 2009.6.8[在庫なし] 2017.5.25
 - 判型
 - 四六
 - 頁数
 - 200ページ
 - ISBN
 - 978-4-7741-3872-5 978-4-7741-9020-4
 
サポート情報
概要
「売上アップを“自分の力”と事実誤認」「若手 vs ベテランの話が噛みあわず会議が空回り」「決断をひたすら先延ばししようとするマネージャー」問題の原因はこの「感情のカラクリ」にあった!
MBAを持つ意思決定のプロが、話題の行動経済学を7つの視点で独自に体系化。豊富な実例とともに、ロジカルシンキングだけではわからない“非合理のロジック”を解き明かします。
「ネガティブなメールを3秒で好印象に変えるコツ」から「200万円がなぜか安く感じられてしまうマジック」まで、今日から役立つ実例満載。世界初のフレームワーク体系図で行動経済学の全体像がひと目でわかります。
こんな方にオススメ
- 会社で自分の考え方が通じなかったり、おかしな意見がまかりとおることを不思議に思い、どうにかしたいと思っている方
 - 行動経済学(人間の心理・考え方・行動の謎)に興味のある方
 - 合理的な思考力・判断力を身につけて損せず得する行動ができるようになりたい方
 
目次
第1章 なぜ、売上アップにつながらない販促が正当化されるのか
 ~数字を読み取るときの落とし穴
- 数字は見れても読めていない
 - 一貫したストーリーは真実から目を逸らせる ~データの一貫性幻想
 - 自分で選べても確率は上がらない ~コントロール幻想
 - 販促しなくても売れ行きは回復する ~平均回帰
 - 評論家は「後出しジャンケンのプロ」? ~後知恵
 - 「75%もの人が支持」が信用できない理由 ~少数の法則
 - 分母は勘違いの母 ~比率差原則
 - 「1000万分の1」は表現1つで高確率に見える ~絶対値 vs 比率
 - 数字とうまくつきあうための2つの力
 - 「経費200万円」をどう捉えるか
 
コラム
- 平均回帰の仕組みをより深く理解する
 
第2章 S字の魔力がイエスマンを作り出す
 ~損得の大きさと確率を判断するときの落とし穴
- イエスマンを批判するのもイエスマン
 - 給与システムに潜むイエスマンの種
 - 人はどうやって不確実なものの価値を判断しているのか
 - “損得の大きさ”をとらえるときの3つの特徴
 - 人の価値感覚はS字を描く ~価値関数
 - “確率”をとらえるときの3つの特徴 ~確率加重関数
 - なぜ、都合のいい占いだけ信じたくなるのか ~反転効果
 - イエスマン思考から逃れるために
 
コラム
- 年功序列は本当に終わったのか?
 
第3章 ネガティブをポジティブに変える法則
 ~捉え方がもたらす落とし穴
- 対立しか生まないメール、一歩前に進めるメール
 - 目的は変えずに「枠」だけ変える ~フレーミング効果
 - インセンティブを操る3種類のフレーミング効果
 - オークションでより高く売れる方法
 - 「事実を記したレポート」から「成果につながるレポート」へ
 - 50円ケチるのに500円ムダづかいしてしまうワケ ~メンタルアカウンティング
 - クレジットカードは「使いやすさ」が高くつく
 - 200万円を安く感じさせる売り方
 - フレーミングには人間性まで現れる
 
コラム
- 定額給付金はどのアカウントに入る?
 
第4章 愛着はムダ仕事の素?
 ~過去と今への執着がもたらす落とし穴
- 「3億円つぎ込んだから止めたらもったいない」は本当か? ~サンクコスト
 - 自分のものは自分だけが高価に見える ~保有効果
 - だれでも「今を変える」のは怖い ~現状維持バイアス
 - 心理的抵抗を低くして売る
 - 心理的抵抗を高くして囲い込む
 - 保有効果はいつから現れるのか?
 - “最悪の結末”を避けるために
 - あらゆるシナリオを天秤にかける
 - あなたの仕事は本当に必要か?
 - 常に“機会損失”を考える
 
コラム
- 教育もサンクコスト?
 
第5章 若者は3年で辞めません
 ~記憶がもたらす落とし穴
- 記憶の力は毒にも変わる
 - 探せる記憶だけが真実になる ~利用可能ヒューリスティック
 - わかりやすいレッテルが真実を隠す ~代表性ヒューリスティック
 - 在庫切れでもお客様を逃さない話し方 ~連言錯誤
 - 値札に「値引き前の値段」が書いてある理由 ~アンカリング
 - 無意識に多く買わせるカラクリ
 - 望みどおりの値段で取引するための交渉術
 - 早い者勝ちの法則
 - 客観的情報でバイアスを洗い流す
 - 自分のコミュニケーションを疑え
 - ベンチマークしてもブレークスルーは起こらない
 - 「自ら考える人」が価値になる
 
コラム
- 事実と実感、ホントのところ
 
第6章 残業と先延ばしの経済学
 ~未来の軽さがもたらす落とし穴
- 人は「今すぐの快楽」に弱い
 - 「将来よりも今が大事」のメカニズム
 - 人は理論通りに時間を割り引かない
 - “目の前の誘惑への弱さ”を逆手に取った戦略
 - 英会話の勉強がかけ声だけで終わる理由 ~選好の逆転
 - 弱さに打ち勝つしくみを作る ~コミットメント
 - 「あいつが遅い」は「あなたがせっかち」なだけ?
 - 基本は「後ですっきり」で
 
コラム
- あなたの割引率はどれぐらい?
 
第7章 「見た目が9割」で思考停止しないために
 ~不適切な情報と知覚がもたらす落とし穴
- 非合理な判断は3種類のバイアスから生まれる
 - 情報の適切さを歪める3つの原因
 - 見ている範囲で結論は変わる
 - 最初ならまずインパクトを、最後ならまず懸念点を ~先行効果・最近効果
 - ライバルの弱点で自分の強みを際立たせる ~対比効果
 - 第一印象は惑わされず、味方にする ~ハロー効果
 - お祝いと引き締め、どちらが先か?
 - テクニックよりも「疑うマインド」と「客観視するしくみ」
 
コラム
- あの人の評価は本当に的を射ているのか?
 
- 点から線へ、線から面へ ~フレームワーク体系図について
 
プロフィール
柏木吉基
日産自動車株式会社 海外マーケティング&セールス本部 マーケティング開発部 マネージャー。
1972年神奈川県生まれ。1995年慶応義塾大学理工学部卒業後、日立製作所入社。在職中に欧米両方のビジネススクールにて学び、2003年MBAを取得。Academic Award受賞。2004年日産自動車へ転職。経営管理、数値解析、意思決定論を専門に執筆・指導なども行う。著書に『Excelで学ぶ意思決定論』(オーム社)がある。
これまでに世界約120カ国を踏破した経験を持つ。特にこの間に触れた多様な価値観が、1つだけの価値観や偏見に依拠したものの見方、既成概念に対するアンチテーゼの原点となり、本書につながっている。
著者の一言
なぜ「理論的にあるべき判断」と「身のまわりで実際に行われる判断」は違ってしまうのでしょうか。その疑問の答えの1つとなるのが行動経済学です。
本書では、行動経済学の理論を7つの視点で体系化し、全体像がつかみやすくなるようにしました。そして、会議、プレゼン、セールス、マーケティングなどビジネスに直結する豊富な事例やケースを通して解説してみました。
たとえば、交渉相手のバイアスを先読みして、交渉を有利に運ぶことができれば、交渉を成功に導く確率がぐんと上がってきます。また、勘と経験だけで物申す上司や同僚に対して、「どうして彼らはそのような判断をしたのか」をきちんと見極めることができたら、あなたの心の持ち様と行動は180度変わることでしょう。
行動経済学のフレームワークを味方につければ、(知らなければ永遠に気づかなかったであろう)自分のバイアスに気付き、日々犯しがちな判断ミスを避け、より自分の考えに自信を持って判断、提案ができるようになります。本書が人間の習性を敢えて理論化した行動経済学におもしろさを感じ、少しでも質の高い意思決定ができるようになるためのサポートとなれば幸いです。