テック・ライブ!
究極のテレビを創れ!
〜感動に挑む絵づくり職人たち
- 麻倉怜士 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2009.9.5[在庫なし]
- 判型
- A5
- 頁数
- 296ページ
- ISBN
- 978-4-7741-3981-4
サポート情報
概要
店先で選ぶのに迷ってしまうほど,美しい絵を映し出す日本のテレビたち。そんな“あたりまえのキレイ”の向こうには,感動を呼ぶ画質を勝ちとる闘いがある ――
普段なにげなく眺めるテレビの舞台裏をAV評論の第一人者・麻倉怜士が徹底取材。現場のプロフェッショナルにしか聞けない“生の声”から,
- 「テレビはどうやって創られてるの?」
- 「きれいな画質の“きれい”って,そもそもどういうこと?」
- 「人間の眼は画質をどう捉えているの?」」
など,あたりまえのようで意外と知らない秘密わかる!
今まで気づかないまま見ていた自宅のテレビの「本当の画質」が見えてくるような視点も得られはずです。
こんな方にオススメ
- 身近なものの裏側にある「なぜ」を知りたい方
- ものづくりの現場に興味のある方
目次
はじめに 人が創るから技術はおもしろい
1章 「人の思い」を形にする挑戦
1 “日本的な画質づくり”とは何か?
- 「美しさ」はいかにして形になるか
- 画質は工場で作りこまれる
- 「美しさ」は人が形にする
2 薄型テレビにたちはだかる「ブラウン管画質」の壁
- 20世紀は「ブラウン管の時代」
- いかにしてブラウン管を超えるか
3 ハイビジョン時代に求められる「画質」とは
- 画質を決める5つの要素
- 画質には3つの進化段階がある
- 新たな目標は「作者の意志」を表現すること
2章 液晶パネル高画質への挑戦
1 「液晶三悪」との闘い
- 眼に追いつくスピードを求めて~残像との戦い
- 強制的に黒を挿入することの副作用
- 「足りない画像を作る」難しさとは
- 速度が上がれば不自然さとノイズが目立つ
- どこから見ても美しく~視野角との戦い
- 黒を,もっと黒を~コントラストへの挑戦
- 光をいかに操り,遮るか
- 幻の「メガコントラスト」
2 技術をいかに“飼いならす”か
- 正視できなかったプラズマの低画質
- 「点の制御」で黒を沈ませる
- 静止画からの試行錯誤
- 机上の計算を現実に落とし込む
- 新技術をモノにした「緊急プロジェクト」
- きれいな画質と熱のジレンマ
- 面から点へ
- 副作用をいかに抑えるか
- 評論は「空気を創る」ためにある
- 技術を感性に翻訳するということ
- 部門間の連携が生むブレークスルー
- 液晶テレビはこれからどうなるのか
- コラム LEDバックライト+ローカルディミングの画質評価
3章 プラズマパネル超高画質への挑戦
1 黒,階調,色を極める挑戦~パナソニック~
- 原理と現実の乖離をいかに埋めるか
- 「なだらかな丘をゆっくり登る」ように燃やせ
- 階調が出なければハイコントラストの意味はない
- 「さらに,1ビット」が豊かな表現力を生み出す
- 時間をシフトさせろ
- ハリウッドが求めた色再現の秘密
- “光のリソース”が画質を上げる
2 至高のコントラストへの挑戦~パイオニア~
- “非常識な黒”が生まれた理由
- 「思いの強さ」が未来を見せた
- 成功の秘密はワッフルにあり
- ペニシリンのようなセレンディピティ
- 技術の価値がなぜ伝わらないのか
- 「黒すぎる」贅沢な悩み
- こだわりのベクトルを1つにする
- 幻の超高画質技術
4章 デジタルの力が起こした画質革命
1 デジタルの魂を詰め込んだモンスターエンジン
- 画面はキャンバス,画像エンジンは絵の具とパレットと絵筆
- 「営業画調」と「映画画調」
- デバイスが変われば「正解」も変わる
- アナログの魂をデジタルに置き換える
- 精度のためならデカくしろ
- 「アナログでは絶対にできない」ことをやる
- 熟成の積み重ねで技術は進化する
- 高画質は小数点以下に宿る
2 好みと環境に最適な自動絵づくりへ
- 「見たい」と「見せたい」をつなげる
- フィギュア・スケートも映画もライブも~パイオニア流の自動調整術
- 「生成り画質」はなぜ必要か
- “最適な調整”がなぜミスマッチになるのか
- 「ウケるためにやった」といわれたら負け
- “眼の秘密”を突き詰めろ
- 「そんなことをするユーザーがどこにいる?」
- “フツーの使い方”でも潜在能力を引き出す
5章 絵づくり職人が生み出す画質マジック
1 「表示」から「表現」へのパラダイムシフト
- スペックだけで感動は創れない
- コンテンツは何を求めているのか
- 「自分が強くなれる絵」をつくる
- 表現以前の大問題とは
- 黒と白をいかに操るか
- 子どもに学んだ「濡れた黒」
- プラズマとは違う液晶の難しさ
- 「液晶の絵づくり」の根幹とは
- 「作者の表現」を崩さないために
2 画質は物語に添う
- 「感動する絵」とは
- 「物語の流れ」をどう映像で表現するか
- 「テレビで観る」とはどういうことか
6章 ニューデバイス「究極の高画質」への挑戦
1 20年の揺籃から覚めた「新世代の自発光」
- “ポスト液晶時代”を切り開く表現力
- 有機ELはなぜ魅力的なのか
- “鶴の恩返し”の原理ゆえの問題
- 2007年の画質革命
2 有機ELはいかにして「商品」になったか
- 開発は感動が先にドライブする
- 仕事は5時半から始まる
- 魅力をいかに“証明”するか
- 価格とデザインはユーザーへの熱きメッセージ
3 有機ELをホンモノにした技術
- バラつきを前提としてつきあう
- 逃げていく光を正面にまとめて,出す
- 技術は商品化で磨かれる
4 SED,FEDの美味
- FEDは有機ELとどこが違うのか
- 誰もが期待した中での,まさかの撤退
- SEDの圧倒的な表現性
- 世代交代は1日にしてならず
7章 近未来のテレビテクノロジー
1 精細美に挑戦する「超解像」
- ボケをなくす驚異!?
- 解像度以上の映像をつくるカラクリ
- 素人の“YES”はいらない
- デジタル放送には2つの解像度がある
- 誇張でなく“復元”をめざして
2 人間を幸せにする「4K×2K」
- 画素が多いほど脳にやさしい?
- 103インチの4K×2Kが実現する日
- 4K×2Kカメラから広がる未来
- 超解像の本命は4K×2K
- “やわらか超解像”の夢
3 今度こそ本物になるか?「3Dテレビ」
- 「苦しい時の3D頼み」?
- 「売り上げ3倍」でハリウッドが動く
- 問題解決の立役者「リアルD」とは
- ドルビーとリアルDの違い
- いかに家庭に普及させるか
- 3Dの進化で2Dの画質も良くなる
4 究極のエンターテインメントは「スーパーハイビジョン」
- 臨場感から没入感へ~画角30度から100度への進化
- 原点はハイビジョンの成り立ちにあり
- すべては人の感覚から発想された
- 「情報が情緒に転化」するための課題
- スーパーハイビジョンはこうして開発された
- 2025年の放送実現に向けて
- カメラの進化がコンテンツのカギを握る
- スーパーハイビジョン時代のAVシーン
おわりに 本当の感動を求めて
プロフィール
麻倉怜士
1950年生まれ。1973年横浜市立大学卒業。日本経済新聞社,プレジデント社(雑誌『プレジデント』副編集長,雑誌『ノートブックパソコン研究』編集長)を経て,1991年にデジタルメディア評論家として独立。
自宅の専用シアタールームに150インチの巨大スクリーンを据え,ソニー「QUALIA 004」やBARCOの3管式「CineMAX」といった数百万円クラスの最高級プロジェクターと,ソニーと松下電器のBlu-ray Discレコーダーで,日々最新AV機器の映像チェックを行っている,まさに“映像の鬼”。オーディオ機器もフィリップスLHH2000,LINNのCD12,JBLのProject K2/S9500など,世界最高の銘機を愛用している“音質の鬼”でもある。音楽理論も専門分野。
現在は評論のほかに,映像・ディスプレイ関係者がホットな情報を交わす「日本画質学会」で副会長という大役を任され,さらに津田塾大学の講師(音楽史,音楽理論)まで務めるという“3足のワラジ”生活の中,精力的に活動している。
著作:『オーディオの作法』(ソフトバンククリエイティブ),『絶対ハイビジョン主義』(アスキー),『やっぱり楽しいオーディオ生活』(アスキー) ,『イロハソニー』(日経BP),『松下電器のBlu-ray Disc大戦略』(日経BP),『久夛良木健のプレステ革命』(ワック出版),『ソニーの野望』(IDGジャパン),『ソニーの革命児たち』(IDGジャパン),『ハイビジョンプラズマALISの完全研究』(オーム社),『DVD-RWのすべて』(オーム社),『DVD-RAM革命』(オーム社),『DVD ―― 12センチギガメディアの野望』(オーム社),『DLPのすべて』(ニューメディア社),『眼のつけどころの研究』(ごま書房)