『良いコードを書く技術 ─ 読みやすく保守しやすいプログラミング作法』より転載
2011年3月 縣 俊貴
あなたはプログラマですか? もしもプログラマなら何のためにプログラムを書いていますか? 生活のため、それとも楽しいからでしょうか。理由は人それぞれでしょう。だけど、もしあなたがプログラマなら、「良いコード」が書けるようになることで仕事がもっと楽しくなるはずです。
本書は良い仕事をしたい普通のプログラマが、読みやすく保守しやすい良いコードを書けるようになるための解説書です。私が考える良いコードの具体例は本書の中で解説していきますが、一番大切なのは「良い仕事をしたい」「良いソフトウェアを作りたい」という気持ちです。この本を手に取ってくれたあなたの中にも、きっとそういう気持ちがあると思います。
良い仕事をすると仕事にやりがいを感じられるようになる、つまり仕事が楽しくなります。そして職人として仕事に誇りが持てるようになります。良い仕事をするプログラマは仲間や顧客からの信頼が厚くなり、仕事を依頼される機会も増えていきます。ということは収入もアップすることでしょう。
と、なれば理想的ですが、実際には職人として良いコードが書けるプログラマは、あくまでも私の実感ですが業界の2割ぐらいしかいません。あとの8割はいわゆる普通のプログラマです。その中には、良い仕事をしたいと思っているものの、なかなかそのコツをつかめなかったり、何から手を付けていいかわからない人が多いようです。
プログラミングはとても創造的でエキサイティングで楽しいものなのに、これではもったいないです。たとえば、泳ぎ方がよくわからないままプールに行ってもおもしろくありません。むしろ苦痛なぐらいです。しかし、25メートル、50メートルと泳げるようになるとだんだん楽しくなります。さらに思いのまま泳げるようになると、快感へと変わっていきます。
私が良いコードを書けるようになったのは、良い師匠や書籍と巡り合えたおかげです。本書が良い仕事をしたい普通のプログラマのみなさんの道しるべとなることを願っています。