Software Design plus PCのウイルスを根こそぎ削除する方法
- 本城信輔 著
- 定価
- 2,178円(本体1,980円+税10%)
- 発売日
- 2011.10.28[在庫なし]
- 判型
- A5
- 頁数
- 256ページ
- ISBN
- 978-4-7741-4867-0
サポート情報
概要
パソコンに巣くう、ウィルスは一度感染するとなかなか取り除くことができません。ほとんどの場合、労力だけかかり、なにも得られないのが現状です。本書は、ワクチンメーカーの研究者が、コンピュータウィルス(現在ではマルウェアと呼ぶことが多いです)を安全に取り除く方法を解説します。ただそれだけでなく、ウィルス感染予防や、危険なインターネットのウェブページからどのように自分の身を守るべきか、サバイバル的な自衛法も解説します。コンピュータユーザにとって福音となる技術書です。
「あなたのPCは知らないうちに汚染されていませんか?」
気がつくと、PCの処理速度が遅い。不明なインターネット接続がある。ディスクが増えている……。それならば、まだ良いほうです。PCに巣くうマルウェア(ウイルス)は、その存在さえわからないままに、あなたの個人情報を抜き取り、犯罪者にこっそり渡します。本書は、PCからスマートフォンまで、マルウェア対策を解説しました。高度IT化社会で、身を守るためには「彼(敵)を知り、己を知れば、百戦危うからず」です。
こんな方にオススメ
- 企業の情報システム部担当者
- 社内システム運用担当者
- システムエンジニア、など
目次
第1章 PCに潜むマルウェアの実体
- 1-1 悪質化するコンピュータウイルス
- 1-2 情報が密かに盗まれる
- 1-3 マルウェアによる振り込め詐欺
- 1-4 口座からお金が盗まれる
第2章 マルウェア感染による被害
- 2-1 マルウェアの動作
- 2-2 マルウェアの分類
- 2-3 マルウェアの機能
第3章 マルウェアの感染機能
- 3-1 感染機能を理解する
- 3-2 USBメモリ経由の感染
- 3-3 脆弱性を経由する感染
- 3-4 メールの添付ファイルで感染
- 3-5 ファイル感染型ウイルス
- 3-6 Webサイトへのアクセスで感染
- 3-7 ソーシャルエンジニアリング
- 3-8 標的を特定した攻撃
第4章 マルウェアはなぜなくならないのか
- 4-1 増え続けるマルウェア
- 4-2 多様化戦略と変異技術
第5章 マルウェアを駆除する
- 5-1 マルウェア駆除の目的
- 5-2 感染の兆候を見逃さない
- 5-3 不正なファイルを見つける
- 5-4 駆除におけるトラブルとその対処法
第6章 マルウェアに感染しないために
- 6-1 不審なメールやWebサイトは判別できる?
- 6-2 アンチウイルスソフトは不要?
- 6-3 企業の情報漏えいを防ぐには
第7章 感染被害の最小化と復旧
- 7-1 コンティンジェンシープランを立てる
- 7-2 重要な資産を復旧させる
- 7-3 マルウェア感染からデータを守る
第8 章 マルウェアとの戦いは続く
- 8-1 アンチウイルス製品を理解しよう
- 8-2 多重の防衛網を築こう
- 8-3 セキュリティ対策の課題
- 8-4 スマートフォンにおける対策
- 8-5 社会全体でセキュリティを向上させよう
プロフィール
本城信輔
2004年より東京のMcAfee Labsに勤務。現在は、日本およびアジア太平洋地域のResearch Leadとして、世界中のマルウェアの解析・研究および定義ファイルの作成を担当している。オンライン上のさまざまな脅威に対し、プロアクティブに対応すべく日々闘っている。
著者の一言
彼(敵)を知り、己を知れば、百戦危うからず」という孫子の言葉があります。これは、マルウェア(コンピュータウイルス)を作成して攻撃してくる敵と戦うための術であるマルウェア対策にもそのまま通じます。マルウェアの攻撃手法を知り、セキュリティ対策として何が足りないのか分析する、そうしたノウハウが身につけば、必要な対策手法を自分で検討し導入することができるでしょうし、その結果マルウェアの感染リスクや感染被害とことんまで減らすことができるでしょう。マルウェアについて全く知識がない方でも、上のマルウェア版の孫子の兵法を実践できることができる、そんなことを目指して本書を書きました。すでにマルウェアについての見識がある方でも、本書で導入しているペイロード、感染機能という二つのキーワードはマルウェアを整理して理解するポイントになるでしょうし、さらにマルウェア駆除にまつわるトラブルに関する箇所は、今後発生する問題を解決することに役立つことと思います。
本書を書くにあたって、注意した点が一つだけあります。それは、個別のマルウェアの動作の紹介を可能な限り避けるようにした、ということです。執筆段階で流行しているマルウェアをいくつか紹介したところで、あらたなマルウェアが数秒単位で作成されていると言われている状況では、すぐに時代遅れになってしまうでしょう。なによりも問題なのは、そうした特定のマルウェアをいくつか理解したところで、マルウェア対策の一般的な指針を導き出すことは難しいことにあります。
この本では、個別のマルウェアを紹介するかわりに、過去数年間に発見されたマルウェア全体を俯瞰して、そこから今後も利用される可能性がある不正な機能や感染手法を抽出して紹介しています。そして、それらのマルウェアの各機能を題材にして、マルウェアの感染対策や感染被害緩和策、駆除に関する様々なノウハウを説明していきます。本書で個別のマルウェア名が登場することもありますが、それは攻撃機能や感染機能をより具体的に理解するために紹介する例でしかありません。
逆に今後どんなマルウェアが新たに登場しても、本書を参考にしていただければ、対策として何が必要なのかを分析することができるでしょう。この本の読者が、マルウェアの機能を眺めながら防衛策を練る、そういった様子を想像することを今後の楽しみとしたいと思います。