生きる技術!叢書 
                    有事対応コミュニケーション力
                    
                  
                  
                  - 鷲田清一,内田樹,上杉隆,岩田健太郎,藏本一也 著
 - 定価
 - 1,408円(本体1,280円+税10%)
 - 発売日
 - 2011.10.29[在庫なし]
 - 判型
 - 四六
 - 頁数
 - 160ページ
 - ISBN
 - 978-4-7741-4871-7
 
サポート情報
概要
未曽有の大災害に見舞われたとき、生き延びられるかどうかのカギを握るのは、言葉の力、コミュニケーションの力である。臨床哲学、武道、ジャーナリズム、医療、危機管理などそれぞれ「待ったなし」の現場を持つ5人のプロフェッショナルが、危機の現場でもなお有効な言葉の力とは? 真偽当否定めがたい雑多な情報からどれを選択しどう判断するか? ポスト3.11の日本が進むべき道は?……などについて徹底討論。これから生きていくための、総合的情報力のヒントがここに。
こんな方にオススメ
- 3.11以降、生き方に不安をおぼえているひとに
 
目次
ACT1 情報の隠蔽と「メディアの裏」を読む力
- 政府のコミュニケーション対応はどうだったか
 - とんでもない情報隠蔽が行われていた
 - 情報のオルタナティブを持つこと
 - メディア関係者の身体実感の情報
 - 本当に起きていることを推察する能力
 - 記者として、人間としておかしくはないか
 - 端的に言って卑怯である
 - プロの言葉の信頼がガタ落ちに
 - 政治家たちも情報を持っていない
 - 記者も専門家も真実を話すと降ろされる
 - そして危険だと言う人はいなくなった
 
ACT2 情報格差社会に歯止めを
- 日本人全員が関係者になってしまった
 - 「加害者であること」の呪縛
 - 批判はできなくてもクレームはつける
 - 若い母親たちは抑制などしていられない
 - 普通に声をあげていけばいい
 - なぜ自分の判断で決められないのか
 - もとになるデータを出せ
 - 海外には流す情報を国民には知らせない
 - 既存メディアが邪魔をする
 - 急激に進む情報の階層化
 - 情報の無政府状態が起きる
 - 大量発生する情報難民
 - 情報のセカンドオピニオン
 - 信頼できる科学者は口ごもる
 - ぐずぐずしている権利を認めよ
 - 科学的ステートメントとポリティカルステートメントは分ける
 - もとになるデータがなければ判断できない
 - マスコミに対する信頼回復のためには
 
ACT3 3・11で顕在化したメディアの病理
- 利益相反の問題
 - 電事連がつぎ込む巨額の広告費
 - お詫び広告打つくらいなら被災者を救え
 - 戦時中の大本営発表と同じ構造
 - ラジオのジャーナリズム性が高い理由
 - ラジオはカジュアルなメディア
 - 音声メディアはしっかり中身が伝わる
 - ラジオとツイッターが震災直後のライフラインに
 - なぜインターネットを目の敵にする?
 - テレビ局ごとの役割分担を
 - テレビは終わった
 - こうして被災地に「上を向いて歩こう」は流れた
 - 現場に行かない日本のジャーナリストたち
 - ジャーナリストにとっての現場はたくさんある
 - 現場に行かなければわからない
 - 情報を公開すればパニックにはならない
 - じつはすべてお金の話
 - 命の話をしているところが金の話に
 - 新しいものに向かうことに対する恐怖心
 
ACT4 「右肩上がり」的発想からの転換
- 問題が露顕したのはむしろ東京
 - 家に帰れないというのはおかしい
 - 防災は無理、できるのは減災
 - 体は動かし、問いは深いところで受けとめる
 - 悪い情報は出してしまおう
 - どうしたら事故は起きないのかの議論
 - 危険を察知するセンサーが働く
 - 死臭を感じとることのできる看護師
 - 異変を察知する能力の研究
 - 縮小する感覚がわからない
 - 30歳以上はサポートにまわれ
 - 次の世代、次の次の世代のことを案じる
 - 発想の転換はせざるを得ない
 - 4月4日以降、日本は加害者になった
 - 放射能と一緒に暮らすための三つの提案
 - 次世代のために想像力を働かせる
 - リスク・マネジメントの欠如
 - そこにある以上、ともに生きるしかない
 - 戦後の繁栄と安全の代償として
 - 海産物調査の問題
 - 子どもと若い女性だけは守る
 
補稿
- 「隔たり」は増幅するばかり 鷲田清一
 - 「疎開」のすすめ 内田樹
 - メルトダウンする言葉 内田樹
 - Don't trust over 30 岩田健太郎
 
プロフィール
鷲田清一
哲学者。大阪大学総長を経て、現在、大谷大学文学部教授。著書に『「ぐずぐず」の理由』(角川学芸出版)など。
内田樹
武道家。神戸女学院大学名誉教授。著書に『最終講義──生き延びるための六講』(技術評論社)など。
上杉隆
ジャーナリスト。自由報道協会暫定代表。著書に『ウィキリークス以後の日本』(光文社新書)など。
岩田健太郎
神戸大学都市安全研究センター、大学院医学研究科教授。著書に『ためらいのリアル医療倫理』(技術評論社)など。
藏本一也
神戸大学大学院経営学研究科准教授。消費者問題に関する論文多数。2009年内閣府消費者担当大臣賞受賞。