じめに

『ノンプログラマのためのJavaScriptはじめの一歩⁠⁠ pp.ⅲ~ⅳより転載

JavaScriptは現在、Webアプリケーションを作るうえで欠かせないプログラミング言語となっています。最近ではサーバサイドやスマートフォンのネイティブアプリケーションなどをJavaScriptで書くことができる環境も登場しており、その適用範囲はどんどん広がっています。ですので今からプログラミングを学びたいと思っている方にとって、JavaScriptは最もお勧めの言語の一つです。

プログラムに限らず何か新しいことを始めようと思ったとき、はじめの一歩を踏み出すのが難しいことも多いように思います。しかしはじめの一歩さえ踏み出せば、二歩目、三歩目はすんなりいくことがよくあります。本書はノンプログラマの方がJavaScriptを学んでみようと思ったときに、はじめの一歩を踏み出す手助けをすることを目的としています。

本書では一歩目には必要のない高度な知識は解説していません。そのため、すでに業務でJavaScriptを使っている方や、ほかのプログラミング言語を習得していてJavaScriptを学んでみようと思っている方には少し物足りない内容かもしれません。しかし、そのぶんプログラムの初学者の方がつまずきそうなところや、わかりにくいところを重点的に解説しています。

たとえば最初にプログラムを学ぶときにつまずきやすい点の一つに、ある文法や機能について説明を受けても、実際にどういう場面で使うのかがわからず、理解が進まないということが挙げられます。そこで本書では、書籍全体を通して1つのスライドショーのサンプルプログラムを使って、解説した文法や機能が実際にスライドショーのプログラムのどこでどういうふうに使われているかを毎回見返すことでしっかり理解するという構成にしました。

スライドショーのプログラムを通して基本的な文法や機能を学んだあとは、スライドショーのプログラムを読む・書くという視点からプログラムの全体像を解説します。これによって、どのような順番でプログラムを読んでいけばいいか、覚えた機能をどのように組み合わせればいいかという総合的な知識を得ることができるはずです。

そして最後に、JavaScriptをより簡単に書くことができるjQueryというライブラリについて解説します。JavaScriptはブラウザ間で挙動が異なるなど面倒なところがあるのですが、jQueryを使うことで驚くほど簡単にその問題を解決できます。そして本書の主役であるスライドショーのサンプルプログラムをjQueryを使って書き直すことで、jQueryの便利さを感じるとともに、より実践的なスライドショーのプログラムに仕上げていきます。

また、本書はHTMLとCSSの基本的な知識があることを前提にしていますが、HTMLとCSSをあまり知らないという方にも読んでいただくために、付録にてHTMLとCSSの基本を解説しています。ですのでHTMLとCSSを知らない方は、まず付録から読むことをお勧めします。

プログラムをまったく書いたことがない人にとって、プログラムは何が書いてあるかわからない呪文のように見えるかもしれません。しかし、基本さえわかればプログラムは難しいものではありません。もちろん、複雑なアプリケーションを作れるようになるには時間がかかるでしょうが、少しかっこよく動くユーザインタフェースくらいであれば、JavaScriptとjQueryの基礎がわかれば簡単に実現できます。

さらに、大きいプログラムも小さいプログラムの集まりなので、基本的な知識さえ身につけておけば、アイデアしだいでとてもおもしろいコンテンツを生み出すことができる可能性もあります。本書がきっかけでそのようなコンテンツが生まれれば、それよりうれしいことはありません。

外村和仁(ほかむらかずひと)

株式会社ピクセルグリッドにてJavaScriptを使ったWebアプリケーションの開発などを行っている。PHPやPerlなどの経験もあり、フロントエンドエンジニアという肩書きだがサーバサイドのプログラムを書くことも多い。好きなプログラミング言語はJavaScriptとRuby。

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