『JUnit実践入門 ── 体系的に学ぶユニットテストの技法』pp.ⅲより転載
テスト駆動開発者 和田卓人
みなさんは、JUnitでユニットテストを書いていますか?
- 大事だとはわかっているんだけど、面倒そうだし、最初の一歩が難しい
- JUnitを調べ始めると、情報の多くは古いバージョンのものばかり
- JUnit 4になって以降、どんな機能が追加されたのか、よくわかっていない
そういう人も多いのではないでしょうか。Javaのテスティングフレームワークとして事実上のデファクトスタンダードの地位を占めているJUnitは、なにぶん長い歴史を持っていますので、触れたことのある人は膨大な数に上ります。しかし、日本語のまとまった情報は意外と少なく、本家JUnitが進化するに従って経年劣化を起こしてしまっているというのが現状です。
そのような状況が変わります。渡辺さんの「JUnit便り」が札幌から全国へ届く日がやってきたのです。
本書は、初学者の方でも、上級者の方でも読み応えがあるような構成になっています。
初学者にとって、本書はJUnitを使ったユニットテストの良質な入門書となります。自習用の問題も付いているので、理解の階段を一歩一歩上り、一人からでも学習を始めることができます。新人エンジニアを教育する立場にある人にとっては、「これを読んでおいて」と渡せる本にもなるでしょう。
上級者にとっては、本書はJUnit 4の基礎から応用への扉を開く、JUnit 4の俯瞰(ふかん)的な情報源という側面を見せます。JUnit 4の新機能、拡張方法、設計思想を知ることができます。しかも、DBのテスト、Androidのテスト、カバレッジなど応用的なトピックも扱っています。
さらに注目すべきは、ユニットテスト設計の語彙(ごい)の豊富さです。「フレッシュフィクスチャ」「スタブ」「モック」「スパイ」といったユニットテストの語彙が登場する本は、まだ日本には少ないのではないでしょうか。
良い仕事は、良い道具を知ることから始まります。
そして、Javaのとびきり良い道具のひとつがJUnitです。
JUnitはJavaエンジニアが時間の大部分を共に過ごす相棒なのです。
JUnitの世界へようこそ。
和田卓人(わだたくと)
タワーズ・クエスト株式会社取締役社長,プログラマ,テスト駆動開発者。
学生時代にソフトウェア工学を学び,オブジェクト指向分析/設計に傾倒する。その後,さまざまな縁に導かれソフトウェアパターンやXP(eXtreme Programming)を実践する人たちと出会い,後のテスト駆動開発の誕生を知る。テスト駆動開発に「完璧主義の呪い」(完璧な設計を得るまではコードを書けないし良いシステムもできないという強迫観念)を解いてもらってからは,文章を書いたり,講演を行ったり,ハンズオンイベントを開催するなどして,テスト駆動開発を広めようと努力している。今日もグリーンバンド(テスト駆動開発者の証)を左手に着け,テストと共にコードを書いている。
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