「いい写真」はどうすれば撮れるのか?
~プロが機材やテクニック以前に考えること
- 中西祐介 著
- 定価
- 2,178円(本体1,980円+税10%)
- 発売日
- 2016.3.29
- 判型
- B5変形
- 頁数
- 176ページ
- ISBN
- 978-4-7741-8031-1 978-4-7741-8065-6
概要
「いいカメラを使っても,画質はきれいだけど,いまいちピンとこない写真しか撮れない……」
そんな悩みはどうすれば解決するのか。プロカメラマンとして活躍する著者が,「きれい」「かっこいい」「おいしそう」「かわいい」「うれしい」といったキーワードをふまえて,イメージ以上のよさを引き出すために何に注目し,どう考え,どんな準備をして,どう撮るか,という機材やテクニック以前の「考え方」を教えます。
こんな方にオススメ
- より上手に写真を撮りたいと思っている方
- そこそこ良いカメラやレンズを持っているのに,いまいち自分の写真に満足できていない方
目次
はじめに 高いカメラを使っても「いい写真」は撮れない
第1章 「いい写真」ってどんなもの?
撮影に入る前に
- 万人に「いい」と思ってもらう必要はない
- いい写真=売れる写真とは限らない
- 「“いい写真”お願いします!」はなかなかクセモノ
- 連写をしても決定的瞬間を撮ることはできない
- 「なぜ,こう撮るか」を言葉にしよう
- ルールを知れば魅力が見える
- 自分とのコミュニケーションが写真に反映される
「白い背景に白い卵が1個」をどう撮るか
- 正解は自分自身の中にある
- いい写真に不可欠な基本動作とは
- コラム 同じ「写真家」という職業でも,報道と広告ではまったく違う職業である
第2章 きれい
驚きと発見
- 晴れた日は空を見上げ,雨の日は水溜りを眺める
- 「こうあるべき」という先入観を持たない
- カメラはいつも首から提げておく
- 遠目から撮るとボリューム感が
- レンズ交換は気分転換
- 雨の日でなければ見えてこない景色が必ずある
- ピントを外すことで幻想的な世界が
- 全景から細部へ
光と色
- 光を知る
- 光が作り出す演出を操る
- 影の印象が強調されるように,少しアンダー気味に露出を取る
- 被写界深度を深くして存在感を出す
- 楽しい雰囲気を出したい時は,露出を明るめに
- 被写体に色の存在感があるときは,背景を工夫して
形と透明感を見る
- シンプルな被写体ほど奥が深く,写真家の力が試される
- 多くの魅力を見つける
- 「透明感」を出す
- 透きとおるような透明感を作り出す
- 透明な瓶の中に水を入れたものをどう撮るか
- コラム 1枚で見せる写真は一瞬のドラマ,30枚で見せる写真は30回連続ドラマ
第3章 かっこいい
ダイナミック
- スポーツの魅力やルールを知る
- かっこいい瞬間をイメージしておく
- 見るのではなく,感じてシャッターを切る
- 障害馬術 ~遠隔操作で理想の1枚にたどり着く
- バスケットボール ~影を主役に,超広角レンズで目一杯遠近感を
- サッカー ~フォームがドラマチックに写る瞬間を狙って
- ボクシング ~カメラを構えず肉眼で動きを追って見えたもの
- 棒高跳び ~写真は肉眼を超えていく
気品のある美しさ
- 被写体のバックグランドや歴史を知る
- 被写体との「対話」を大事にする
- 受け身の状態でカメラを持つ
- 歴史ある建物をどう撮るか
奥深さ
- 特別なものと思わずに楽しむ
- カラーとモノクロを比べる
- 撮る時間よりも見る時間を大事に
- 夏の海辺
- 夕暮れ時の海
- 寒い冬の夜,キャンドルの光
- モノクロ写真は「画像処理も含めて完成させる」という気持ちで
- モノクロ写真作成のポイント
- モノクロ変換の3つのステップ
- 作例1 夏の海辺
- 作例2 夕暮れ時の海
- 作例3 寒い冬の夜,キャンドルの光
第4章 おいしそう
シズル感がある
- おいしそうに感じた気持ちを整理する
- 「肉眼に近い目線」で,一番おいしそうな角度,構図を考える
- スタイリングでおいしさを際立たせる
- 目玉焼きが乗ったハンバーグをどう撮るか
温度を感じる
- 温度を感じるキーワードを主役にする
- 主役を引き立てるタイミングを捕まえる
- 温度が見える背景と明るさで
- コーヒーをどう撮るか
味や匂いを感じさせる
- 実際に食べた時の気持ちをまず言葉にしてみる
- 背景を変えてみる
- 目線の高さを変えてみる
- 出来立てのパンケーキをどう撮るか
- コラム なぜ,プロカメラマンのカメラはニコンかキヤノンなのか
第5章 かわいい
すき間がある
- 写真の中に余白を作ってみる
- 「力強く」よりも「ちょっと控えめに」
- 丸い壁掛けの時計をどう撮るか
- 4色の飴のお菓子をどう撮るか
豊かな表情,しぐさ
- 同じ目線になって,魅力を最大限に捉える
- 使用するレンズはシンプルに
- 世界にそっと入り込む
- 子どもをどう撮るか
柔らかい・フワフワ
- 安心して過ごす空間を作る
- 柔らかな光の中で撮る
- 空気をつかむ
- 猫をどう撮るか
- コラム うまく撮れないのは青信号
第6章 うれしい
人とつながる魅力
- 一方的な押しつけにならないようにする
- その場の空気になる
- 撮影した写真をプリントして渡す
- 中学校の放課後 ~空気を壊さないよう入り込んでいく
- 親子 ~「この人たちとつながっていく」という意識で
- 自分自身の結婚式 ~二人だけしか見てない光景を永遠に
いつもの1日を生きる喜び
- 自分のために撮る
- 心をリセットする
- 同じ日の空を撮る
被写体と心が通い合う瞬間
- 被写体とたくさん会話をする
- 短焦点レンズを活用する
- いつもの場所で,普段どおりで
- 両親をどのように撮るか
- コラム 写真を撮るとは「残す」ということ
第7章 写真展で「いい写真」に見せる
写真展を開催するまでにやるべき5つのこと
- 1. 写真作品のセレクトおよび作品テーマの確認
- 2. 会場選び
- 3. 宣伝
- 4. 写真展用のプリントおよび額装
- 5. 写真作品の会場設営
写真展「拳の行方」のケースから
- 10年単位で被写体と向き合う
- 自身の写真をよく知り,タイトルをつける
- 描き出したいイメージを具体化させておく
- 使用する写真をセレクトする
- 構成を固める
- 自分自身の「いい写真」と向き合うことが写真展の意味
- 相手を尊重して距離感を測る
- 写真展は終わりではなく「通過点」
- コラム 写真は「撮る」より「選ぶ」ときが大変
あとがき
プロフィール
中西祐介
1979年東京生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。講談社写真部勤務を経て,2005年よりアフロスポーツに所属。日本スポーツプレス協会会員。国際スポーツプレス協会会員。
学生時代より,ボクシングを撮り始め,現在はボクシング世界タイトルマッチ,オリンピック等,スポーツ全般の撮影に従事しながら多くのドキュメンタリー製作にも取り組んでいる。
これまでに,『Fight』(2006年,フジフォトサロン東京),『拳の行方』(2012年,キヤノンギャラリー)などの写真展を開催。各スポーツ雑誌,報道媒体に多くの写真を提供すると同時に,広告分野の仕事も多い。
日本カメラの連載「究極の瞬間」を2012年の1年間担当。その他のカメラ雑誌での執筆多数。
URL:http://www.aflo.com/artist/nakanishi_yusuke/