問題地図 仕事の問題地図 ⁠で,どこから変える?」進捗しない,ムリ・ムダだらけの働き方

「仕事の問題地図」のカバー画像
著者
沢渡あまねさわたりあまね 著
定価
1,628円(本体1,480円+税10%)
発売日
2017.3.8
判型
四六
頁数
224ページ
ISBN
978-4-7741-8774-7 978-4-7741-8873-7

概要

「やることが多くて、そもそも最初から終わる気がしない」
「頼んだ仕事の進捗がまったくわからない」
「なんで自分がこんな仕事をしなくちゃいけないのか、さっぱりわからない」
「『他人の力を借りたら負け』だと思ってる」
「やり方を変えようとしても、他部署が抵抗してくる」
「問題があっても、空気を乱す発言はしない」
「同じ失敗を何度も何度も繰り返す」

そんな仕事のムダ、ムダな仕事はなぜ生まれる?
問題の原因を図解で示しつつ、解決策を教えます。

大好評『職場の問題地図』に続く働き方改革のバイブル!

【巻頭付録】仕事の問題 全体マップ

こんな方にお薦め

  • やることが多くて、そもそも最初から終わる気がしない
  • 頼んだ仕事の進捗がまったくわからない
  • エラい人だけで何でも決めて、ほかの人は蚊帳の外
  • なんでこんな仕事をしなくちゃいけないのかわからない
  • 期限はただの努力目標だと思ってる
  • 会議が管理職の独演会
  • 「社外の力なんて借りたら負け」だと思ってる
  • やり方を変えようとしても、他部署が抵抗してくる
  • 問題があっても、空気を乱す発言はしない
  • 同じ失敗を何度も何度も繰り返す

といったことに1つでもあてはまる職場にいると思う方

著者の一言

どうして仕事が進まない、終わらない?

日々の仕事、どうせやるなら予定どおり終えたいし、成功させたい」

自分の仕事を全うしたい――だれもがそう考えるでしょう。
私たち日本人は元来、几帳面で真面目な国民です。よほどの天邪鬼(あまのじゃく)でない限り、あるいは競合他社から送り込まれたスパイでもない限り、期限までに仕事を終えるようがんばります。コツコツ進めようとします。にも関わらず……

「なぜか、仕事が予定どおりに終わらない!」

こんな叫び、行く職場、行く職場で必ず耳にします。
いや、予定どおりに終わらないくらいならまだマシかもしれません。

「手つかずのまま、時が流れてしまった……」

こんな、夏休み最終日の小学生さながらの光景も見かけます。
以下は、私の過去の勤務先やクライアント先でよく聞いていた、ため息センテンスです。

  • ①計画どおり終わったためしがない
  • ②というより、計画を立てる人がいない
  • ③「いつかやらなくちゃ」とは思っていて、期限を過ぎてしまった……
  • ④計画やルールを決めても、定着しない、続かない
  • ⑤「横入り」(突発の依頼)が多くて、どうにもならない
  • ⑥「し忘れ」「やり漏れ」が常態化
  • ⑦「計画どおりに終わらないのが当たり前」と、皆諦めてしまっている
  • ⑧一部のデキる人頼み
  • ⑨そもそも、最初から終わる気がしない

なかには、

  • ⑩いままで勘と気合で何とかなってきたから、計画なんて立てない

なんて猛者(?)も。
1人でやる作業レベルの仕事から、5人、10人、あるいは20人以上で取り組むプロジェクトレベルのチームワークまで、規模の大小にかかわわず、嘆きの声があちこちで発せられています。

いったいなぜ、私たちの仕事はなかなかうまく進まないのでしょうか? 最後まで走りきれないのでしょうか?

そこには、無視できない2つの大前提があります。

①仕事は生きものである

仕事は常に変化します。その仕事への要求事項、前提条件、環境、取り巻く人々との関係性などは、時間の経過とともに変わります。期間が長ければ長いほど(あるいは、手つかず状態で放置すればするほど)、変わるリスクは大きいといえるでしょう。仕事は生きものなのです。

②私たちもまた生きものである

そして、仕事をする私たちもまた生きものです。最近では、AI(人工知能)が進化し、人の仕事を代替するかもしれないなどと騒がれていますが、そこに到達するにはもう何年かかかるでしょう。また、AIを操るのも、結局は私たち人間です。しばらくは、人前提でものごとを考える必要があります。
人がやっている以上、完璧はありません。たとえば、「し忘れ」「やり漏れ」は、なかなかなくならないですね。忘れていなくても、目先の仕事に追われて、重要な仕事なのに、ついつい後回しにしてしまうこともあるでしょう。
それはなぜか?

「だって、人間だもの」

仕事がなかなかうまくいかないのは、仕事そのものが、そして仕事をする私たちも、生きものだからです。
そんなことを言うと、たまに厳しいお叱りを受けます。

「はぁ? 生きものだから? 人間だもの? 何を呑気なことを言っているんだ!」

お気持ちはごもっとも。しかし、前述の現場の嘆きの声をもう一度思い出してみてください。

  • 「いつかやらなくちゃ」とは思っていて、期限を過ぎてしまった……
  • 計画やルールを決めても、定着しない、続かない
  • 「し忘れ」「やり漏れ」が常態化
  • そもそも最初から終わる気がしない
  • いままで勘と気合で何とかなってきたから、計画なんて立てない

どれもこれも、人間の意識や気持ちの部分が大きく影響しているものばかり。正論や「べき論」をふりかざしても、どうにもなりません。キレイごとだけの対策を並べ立ててもダメなのです。
夏休みの終わり間際まで宿題をやらない子どもたち。ルールで縛っただけでは、計画表を作らせただけでは、うまくいかないですよね。目先に大きな誘惑があれば、子どもは計画そっちのけで遊んでしまいます。

  • 親が「今日は宿題やった?」と毎日しつこく問いかける
  • 「8月20日までに終わっていなければ、21日からの家族旅行は中止」と約束する
  • 仲のいい友達と一緒にやる
  • 勉強が好きになるようなきっかけを作る
  • ご褒美をちらつかせる

親は、あの手この手を使うでしょう。私たちの仕事も同じです。

「生きものだから」「人間だもの」

このリアルと向き合わずして、ものごとは解決しません。なのに、私たちはなぜかそこに蓋をして、キレイごとだけでスマートにやろうとする。そりゃ、うまくいくわけがありません。子どもに宿題をやらせるがごとく、さまざまなアプローチが必要です。

本書では、「仕事が思うように進まない・終わらない」実態を料理していきます。そこには、さまざまな要因が潜んでいます。

  • 「計画を立てられない」「進捗が見えない」など、仕事の進め方(プロセス)の問題
  • 「期限に終えることができない」など、個人のスキルも関係する問題
  • 「一体感がない」「モチベーションが低い」など、意識や気持ちの問題
  • 「だれも意見を言わない」など、職場環境や雰囲気の問題
  • 「やり方を知らない」「有識者がいない」など、知識の問題
  • 「抵抗する人、邪魔する人が多い」など、人間関係の問題
  • 「同じ失敗を繰り返す」「失敗から学ばない」など、組織風土の問題

これらの要因を地図にして、解決策を提案します。まずは巻頭の地図を広げてみて、「私、ここでつまずいている!」「ウチの職場はここが弱い!」など、ワイワイがやがやしながら、原因と対策をつまみ食い、拾い食いしてみてください。

人間らしさを受け入れながら、最後まで走りきる仕事のやり方。この地図片手に、ゆるーり、真剣に考えてみましょう。

目次

はじめに どうして仕事が進まない、終わらない?

1丁目 計画不在

  • 「計画不在」の3つの原因
  • 構造化してみる
  • 計画表を書いて、まわりに相談する
  • 「未知」か「既知」かを皆で判断する
  • 情報共有の旗振り役を置く
  • コラム 計画不在の元凶ビッグ3の裏にいるヤツら

2丁目 進捗不明

  • 進捗が見えない景色はなぜ生まれるのか
  • なんていうか、相手依存なんです
  • 進捗不明の2つの処方箋

3丁目 一体感がない

  • 悲しき不協和音を奏でる職場、原因は?
  • 3つのことを「ケジメ」てみよう
  • コラム 管理職が早く帰ったほうがいいのはなぜか?

4丁目 モチベーションが低い

  • 低モチベーション・やらされ感をもたらす3つのゾーン
  • 信頼・愛着ゾーン
  • 過剰期待ゾーン
  • あいまいゾーン
  • 知る場を設けよう
  • 情報共有の順序にも気配りを
  • 知るための時間とお金を惜しまない
  • コラム それでも気合と根性で出社する日本人

5丁目 期限に終わらない

  • 期限遵守を阻む4つの要因
  • 柔軟性がない
  • 計画・管理が甘い
  • 知識・スキルがない
  • 過度な自責意識
  • 変更をコントロールする ~変更管理
  • 安心して「忘れられる」環境を作る ~インシデント管理
  • 戦略的雲隠れ
  • バッファを設けて計画を作る
  • コミュニケーションする「場」を作る
  • コラム 緊急度:低、重要度:高の仕事に油断するな

6丁目 意見を言わない

  • 上司・部下間の「片想い」
  • もの言わぬ人びとはこうして生まれる
  • 意見しやすい空気を作る4つのポイント
  • 意見を言う「甲斐」を創出するには

7丁目 有識者不在

  • 自分たちだけでやろうとする
  • どんな知識やスキルが必要なのかわかってない
  • 「キミたちならできる!」 ~トップの社員に対する過信
  • メンバーの自主性に任せず、半強制的に外を知るための仕掛けを作る
  • 外に任せれば「属人化」「自己満足」を排除できるメリットも
  • 「らしさ」は大切、けどね……

8丁目 抵抗勢力の壁

  • 行く手を阻む2つの抵抗
  • まず現場に話をして、その後上から落としてもらう
  • 相手を動かすストーリーに不可欠な8つのポイント
  • 答えが中になければ、外に求めればいい
  • 人事制度も大事

9丁目 対立を避ける

  • 「事なかれ主義」を生み出す5つの原因
  • 対立は成功に必要なプロセスである ~チーム形成の4つのフェーズを理解しよう
  • 安心して対立できる環境を作る4つのポイント

10丁目 失敗しっぱなし

  • 失敗から学ばない組織の2つの特徴
  • なぜ、失敗は隠れたがる、逃げたがるのか
  • 失敗を組織の学びに変える3つのポイント
  • 失敗は恥ずかしい、だからこそ、共有するのは尊い

おわりに ~「だって、人間だもの!」に向き合おう

プロフィール

沢渡あまねさわたりあまね

1975年生まれ。あまねキャリア工房 代表。業務改善・オフィスコミュニケーション改善士。

日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社などを経て、2014年秋より現業。企業の業務プロセスやインターナルコミュニケーション改善の講演・コンサルティング・執筆活動などを行っている。NTTデータでは、ITサービスマネージャーとして社内外のサービスデスクやヘルプデスクの立ち上げ・運用・改善やビジネスプロセスアウトソーシングも手がける。

現在は複数の企業で「働き方見直しプロジェクト」「社内コミュニケーション活性化プロジェクト」「業務改善プロジェクト」のファシリテーター・アドバイザー、および新入社員・中堅社員・管理職の育成も行う。これまで指導した受講生は1,000名以上。

著書に『職場の問題地図』(技術評論社)、『新人ガール ITIL使って業務プロセス改善します!』『新米主任 ITIL使ってチーム改善します!』『新入社員と学ぶ オフィスの情報セキュリティ入門』(C&R研究所)などがある。趣味はドライブと里山カフェめぐり。

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