業務デザインの発想法 ⁠仕組み」「仕掛け」で最高のオペレーションを創る

著者
沢渡あまねさわたりあまね 著
定価
2,508円(本体2,280円+税10%)
発売日
2019.4.27 2019.4.23
判型
A5
頁数
336ページ
ISBN
978-4-297-10436-8 978-4-297-10437-5

概要

累計21万部突破の問題地図シリーズ著者のノウハウ山盛り!
「RPAを導入!」…した後の「抜け漏れ」「想定外の変更」で苦労しないために

「既存の業務をよりよく改善しよう」
「今までにない価値を提供する新しい業務を立ち上げよう」

という話が,いつの間にか「とにかく,納期優先!」「細かいことは,後で考えればいい」となって,後になって「わかりにくい,こんなもの使えるか!」「かえって手間が増えたんですけれど……」とクレームの嵐に――そんな事態を防ぐには?

累計21万部の問題地図シリーズを生み出した業務改善・オフィスコミュニケーション改善士である著者が,ハンバーガーショップの運営を例に,業務を設計するための観点を集大成。

「業務や機能の要件を抜け漏れなく洗い出すためには?」
「業務の変化をとらえて,適切に対応できるようにするには?」
「不要な業務をやめるには?」
「利用者を,意図した行動に導くには?」
「あたりまえの業務を,あたりまえに提供するには?」
「業務の付加価値を高めるには?」
「人と組織を継続的に成長させるには?」

そんなさまざまな“どうすれば”をまとめ上げました。

生産性向上の必須バイブル!

こんな方にオススメ

  • 仕事の生産性を上げたい方
  • 新規サービスの立ち上げ責任者
  • 業務改善の担当者

目次

はじめに なぜ,利用者目線の立場に立った仕組みがなかなかできあがらないのか?

  • 「利用者目線のサービスを提供せよ」
  • 「運用でカバーしろ!」
  • 「業務デザイン」を言語化する
  • センスのある個人に頼らず,計画的に価値を提供できる組織へ
  • 本書の読み方

第1章 「何を」「どのように」提供するか決める ~業務設計/システム設計

1-1 どんな業務を提供するのか,メニューを定義する ~運用項目設計

  • (1)運用を開始するために何をすればいいか? ~タスクの洗い出し
  • (2)毎日発生する仕事,たまにしか発生しない仕事を見極める ~定常業務/非定常業務定義
  • (3)標準化すること,都度考えて対応することを決める ~ルーチン/ノンルーチン区分
  • (4)やることの詳細を定義する ~プロセス定義
  • (5)やることの流れを定義する ~フロー定義

1-2 すぐやる処理/まとめてやる処理を定義する ~処理設計

  • (1)言われたらすぐやる~ リアルタイム処理
  • (2)まとめてやる~ バッチ処理
  • (3)すぐやる+まとめてやる

1-3 システムがやること,人がやることを見極める ~自動化判断

  • (1)システムに任せること
  • (2)人がやること
  • (3)内製かアウトソースか?

1-4 システムやサービスの機能と保証レベルを決める ~機能要件/非機能要件定義

  • 機能要件とは
  • 非機能要件とは
  • 可用性
  • 信頼性
  • 保守性
  • 同時アクセス数
  • 運用性
  • 拡張性(スケーラビリティ)
  • 移行性
  • 「有用性×保証」で業務の価値や脆弱性を診断する
  • プロトタイプを作って運用テストをしよう

1-5 利用者が行動をしたくなるようにする/行動を阻害する要因を取り除く ~行動設計

  • (1)行動をしたくなるよう促す
  • (2)行動を阻害する要因をとり除く
  • (3)「運用しやすい」「他人に説明しやすい」サービス設計,インターフェース設計
  • (4)マーケティングの4Pで考えてみる
  • コラム 行動アクセルと行動ブレーキ
  • コラム 運用しやすい行動を,利用者に促す工夫 ~社員食堂の「そばうどんコーナー」の例

1-6 だれがどのように業務を回すかを決める ~運用組織設計

  • (1)運用体制図を作る
  • (2)ジョブディスクリプション(職務記述書)を用意する
  • (3)スキル要件
  • (4)エスカレーションルールとフロー

1-7 業務提供に必要なリソースを調達する ~リソース計画

  • 調達すべき5つのリソース
  • Make or Buy ~内製か外注か
  • リソースマネジメントをする

1-8 業務に必要なドキュメントをそろえる ~文書管理

  • 人や環境が変わってもプロセスやルールが継続されるようにする
  • 作成しておきたい10種のドキュメント

1-9 いつ,だれが,どんな行動をしたかを捕捉できるようにする ~ログ管理/データ管理

  • (1)ログとは行動の足跡
  • (2)ログを取得する目的
  • (3)ログの種類
  • (4)ログの取得方法
  • (5)ログの保管方法と期間
  • (6)アクセシビリティ
  • (7)ログは後からは取得できない

1-10 だれに,どの情報や設備へのアクセスを許すかを決める ~アクセス管理

  • (1)役割および権限の定義
  • (2)情報取り扱い区分定義
  • (3)区画定義
  • (4)アクセス権限の付与と剥奪
  • (5)権限の棚卸し

1-11 各業務項目の提供レベルを定義する ~サービスレベル設計

  • (1)サービスレベルの種類
  • (2)サービスレベルの設定および運用方法

1-12 万が一に備える ~BCP検討

  • (1)BCP検討のポイント
  • (2)代替運用のサービスレベルと体制
  • (3)訓練の計画と実施

第2章 業務のおはようからおやすみまでを想定する ~ライフサイクルマネジメント

2-1 「何に」対する変化が起こりうるのかを把握する ~5つの対象

  • (1)業務/サービス
  • (2)システム
  • (3)データ
  • (4)機器/資材/材料
  • (5)組織/権限

2-2 「どんな」変化が起こりうるのかを把握する ~ 5つのライフイベント

  • 「おはようから,おやすみまで」の5つの視点
  • (1)新規
  • (2)利用
  • (3)変更
  • コラム 「主キー」を意識しよう
  • (4)停止
  • (5)廃止
  • コラム ライフサイクルあれこれ

2-3 その業務が問題なく回っているか,変化を察知する ~モニタリング(監視設計)

  • (1)監視/測定項目の定義
  • (2)監視/測定方法の定義
  • (3)報告方法の定義
  • (4)緊急対応ルールの策定
  • (5)ふりかえりの実施

2-4 今後の業務規模拡大/縮小などの変化を見すえる ~スケーラビリティ(拡張)設計

  • (1)利用者数の想定
  • (2)同時アクセス数
  • (3)ピーク時特性
  • (4)スレッショールドの設定
  • (5)プロダクトライフサイクル

2-5 変化にスムーズに対応する ~変更対応

  • (1)定常活動
  • (2)非定常活動
  • (3)運用テスト計画と実施
  • (4)移行計画

2-6 臨時運用や新旧業務の併行運用を検討する ~暫定運用/トランジション運用設計

  • (1)暫定運用設計
  • (2)トランジション運用設計
  • コラム その業務・サービス・商品が,どんな「人生」を送るかを想像してみよう

第3章 ステークホルダーを巻き込む ~コミュニケーション設計

3-1 関係者を特定し,接点を作り,情報を授受する ~コミュニケーション設計

  • (1)ステークホルダーの特定
  • (2)タッチポイントの設計
  • (3)コミュニケーション活動の計画/実施
  • コラム 情報は下手に加工せず,そのまま出したほうがうまくいく場合もある

3-2 ユーザーをうまく味方につける ~ユーザーエクスペリエンス設計

  • (1)ターゲットユーザー/ファーストユーザーの特定
  • (2)ターゲットユーザーの行動パターンの想定
  • (3)ユーザーインターフェースの工夫
  • (4)ユーザーの育成
  • コラム カスタマージャーニーマップ

3-3 過度に期待させない/適度に期待してもらう ~期待値コントロール

  • (1)リソースの把握
  • (2)サービスレベルの設定
  • (3)「できないこと」の明示

第4章 あたりまえの業務を,あたりまえに提供できるようにする ~オペレーションマネジメント

4-1 「割り込み」「トラブル」をマネジメントする ~インシデント管理

  • (1)インシデントとは
  • (2)インシデント管理のモデルフロー
  • (3)インシデント管理ツール
  • (4)インシデント管理をおこなうメリット
  • (5)インシデントを記録する文化が大事
  • (6)「未知」を「既知」に変える取り組みが組織と個人を成長させる

4-2 「割り込み」「トラブル」が二度と起こらないようマネジメントする ~問題管理

  • (1)問題とは
  • (2)問題管理のモデルフロー
  • (3)「リアクティブ」と「プロアクティブ」

4-3 業務の山谷を見える化する ~運用スケジュールの策定と実施

  • (1)年間の業務スケジュールの策定
  • (2)年間の業務スケジュールのアップデート

4-4 必要な業務/不要な業務を見極める ~業務棚卸し

  • (1)棚卸しを企画する
  • (2)棚卸しを実施する
  • コラム 「重要度:高,緊急度:低」の仕事にいかに取り組めるかが組織の価値を決める

第5章 業務の価値を高める ~付加価値向上

5-1 個人の知識を組織の知識に変え,活用できるようにする ~ナレッジマネジメント

  • (1)ナレッジマネジメントのアンチパターン
  • (2)必要なナレッジを定義する
  • (3)ナレッジの収集方法を定義する
  • (4)ナレッジを収集する
  • (5)ナレッジを共有する
  • (6)ナレッジを評価/再評価する
  • (7)ふりかえりをする
  • (8)暗黙知と形式知/SECIモデル
  • (9)「場」の創造

5-2 人と組織を計画的に育てる ~人材育成

  • (1)スキルマップ(人材要件)を描く
  • (2)スキルの調達方法を定義し,計画する
  • (3)育成計画を策定する
  • (4)スキルマップをふりかえる

5-3 ムリ・ムダをなくして働きやすくする/本来価値にコミットできる環境を作る ~業務改善促進

  • (1)なぜ業務改善をする必要があるのか?
  • (2)改善活動,最初のひと押しをするポイント
  • (3)業務改善活動を定着させる
  • (4)コラボレーションの阻害要因をなくす
  • (5)自動化を検討する
  • (6)ダイバーシティと業務改善の関係
  • (7)とどのつまりは,あなたの組織が「どうなりたいか?」「どうありたいか?」
  • コラム プロジェクトのキックオフ/終了時に決意表明/ふりかえりをやろう

第6章 人と組織を継続的に成長させる ~環境セットアップ/ブランドマネジメント

6-1 メンバーの行動や成長を動機づけする ~コミュニケーション/モチベーションマネジメント

  • (1)エンゲージメント
  • (2)ビジョンニングをする
  • (3)心理的安全性を担保する
  • (4)必然の出会い/偶然の出会いをデザインする
  • (5)「知る」から生まれる好循環
  • (6)成長イメージを設定する
  • (7)ビジョンニングがいい職場環境を創り,エンゲージメントを高める

6-2 働きやすく成長しやすい環境を整える ~環境セットアップ

  • (1)人事制度をアップデートする
  • (2)オフィス環境を整備する
  • (3)DevOps
  • (4)チャレンジする機会を設計する
  • (5)目立たない仕事にも光を当てる

6-3 自組織の認知とプレゼンスを高め,組織内外のファンを増やす ~広報/ブランドマネジメント

  • (1)インターナルブランディング
  • (2)エクスターナルブランディング

第7章 「で,どうやったらなれる?」 ~業務デザイナーとしてのキャリア/スキル

7-1 業務デザイナーに向く人の10の特性

  • (1)ものごとを俯瞰的に見ることができる
  • (2)新しい知識や技術に触れるのが好き
  • (3)作業よりも発想するのが好き
  • (4)めんどくさがり屋
  • (5)見えないものに意味を見出すのが好き
  • (6)仕事をラクにするために苦労するのを厭わない
  • (7)情報発信するのが好き
  • (8)他人の成長に喜びを感じることができる
  • (9)トライ&エラーを好む
  • (10)失敗も資産だと思える

7-2 職種別「いまからできる」アプローチ

  • (1)事務職(担当者)のあなたへ
  • (2)事務職(管理者)のあなたへ
  • (3)経営企画部門のあなたへ
  • (4)総務部門のあなたへ
  • (5)人事部門のあなたへ
  • (6)営業部門のあなたへ
  • (7)経理/財務部門のあなたへ
  • (8)購買部門のあなたへ
  • (9)広報部門のあなたへ
  • (10)開発系ITエンジニアのあなたへ
  • (11)運用系ITエンジニアのあなたへ
  • (12)(Web)デザイナーのあなたへ
  • (13)窓口スタッフ/ヘルプデスクのあなたへ
  • (14)社会保険労務士のあなたへ
  • (15)中小企業診断士のあなたへ
  • (16)税理士/監査法人のあなたへ

おわりに

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索引

プロフィール

沢渡あまねさわたりあまね

1975年生まれ。あまねキャリア工房代表。株式会社なないろのはな取締役。業務改善・オフィスコミュニケーション改善士。
日産自動車,NTTデータ,大手製薬会社などを経て,2014年秋より現業(経験職種は情報システム,ネットワークソリューション事業部,広報など)。複数の企業で働き方改革,組織活性,インターナルコミュニケーション活性の企画運営支援・講演・執筆などを行う。NTTデータでは,ITサービスマネージャーとして社内外のサービスデスクやヘルプデスクの立ち上げ・運用・改善やビジネスプロセスアウトソーシングも手がける。
著書に『職場の問題地図』『仕事の問題地図』『働き方の問題地図』『システムの問題地図』『マネージャーの問題地図』『職場の問題かるた』(技術評論社),『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社),『新人ガールITIL使って業務プロセス改善します!』『運用☆ちゃんと学ぶ システム運用の基本』(C&R研究所)などがある。趣味はダムめぐり。

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