はじめに ——Linuxを知り、コマンドラインに親しむ
本書は、コマンドを通じてLinuxを知る、そして、Linuxを介してコマンドを学べる入門書です。
コンピューターの操作をキーボードからの文字入力によって操作する、そのときに使うのが「コマンド」(command)です。また、コマンドを入力する場所や入力した内容のことを「コマンドライン」(command line)といいます。コマンドラインを提供し、コンピューターと私たち利用者の間でインターフェースの役割を担ってくれるソフトウェアが「シェル」(shell)です。
Linuxが「使える」ようになる第一歩は、「シェル」と「コマンドライン」です。そして、二歩めも三歩めも「シェル」と「コマンドライン」といっても過言ではないでしょう。LinuxにもGUI(Graphical User Interface、画面上のアイコン等で操作するインターフェース)環境がありますが、GUI環境があってもなお、コマンドラインで操作を行い、コマンドの実行によって状況を把握し、コマンドの実行によって問題を解決する、それがLinuxの世界です。また、LinuxはGUIを要しないサーバーで使われていることが多く、GUI環境が使えない場面にも数多く直面するでしょう。
そこで、本書はコマンドラインを中心に据えて、操作の方法はもちろん、コマンドの実行を通じて、Linuxのしくみや考え方を掴めるように解説を構成しました。
説明どおりに文字を打てばコンピューターを操作できるのはコマンドラインの便利なところですが、それだけでは「自分の道具」として使いこなすにはもう一歩足りません。コマンド自体の知識だけではなく、コマンドがどのように働き、どのように組み合わせて使えるかを知ることで、さまざまな応用が利くようになります。ある程度のことが把握できていれば、はじめて見るコマンドでも意外と使えるようになる、これもまたコマンドラインの魅力です。
そして、その応用範囲はLinuxだけに留まりません。WindowsやmacOSにもコマンドの世界は広がっています。もちろん、Linuxの世界も広大です。本書をきっかけに理解を深め、広い世界へ向かってステップアップしていただけたならうれしく思います。
2021年3月 西村 めぐみ
[特別収録]「Linux[基本]コマンドQuickリファレンス」
「Linux[基本]コマンドQuickリファレンス」(配布版)は、以下よりダンロード可能です。