著者の一言

Webアプリケーション開発の現場は、日進月歩で新しい技術が登場し、スタンダードも非常に速いスピードで変化していきます。特にここ最近のフロントエンド周辺は百花繚乱の様相で、React、Angular、Svelteといったフロント向けの定番フレームワークや、サーバサイドレンダリングまでサポートするNext.js、Nuxt.jsなど、開発者は多種多様な技術を理解し、ユーザの要望に応じて使い分けられる知識や経験が求められるようになっています。さらに、LaravelのInertiaやLivewireのようなアプリケーションフレームワーク固有のしくみも多く、開発自体が容易で効率的になった反面、常に最新の技術要素にキャッチアップしていくのが難しいと感じているエンジニアの方も多いのではないでしょうか。技術的な選択肢が多くなった一方、個々の技術を深く理解し徹底的に使いこなすには、これまでとはちょっと違った努力や、より効率的な技術習得の道筋を見つける必要があるのかもしれません。

本書は、JavaScriptフレームワーク「Vue.js」について、いつでも傍らに置いて参照できる「ポケットリファレンス」の形で解説するものです。できるだけ平易なことばで、サンプルコードやこぼれ話的なコラム、⁠主にネコの)画像などを通して楽しく理解が進むように工夫しました。これからWeb開発、とりわけフロントエンド開発を学ばれる方、Vueの利用を前提とした開発プロジェクトに関わる方には、Vue学習の入口としてきっとお役に立てると思います。また、最新のVue3は、前バージョンのVue2から大きく進化しています。本書では、Vue3の新機能や変更点にも触れ、Vue2からの移行についてもスムーズに理解できるように解説しています。すでにVueでの開発経験のある方が最新のVueについて学ぶ際にも、コンパクトな本書が最短ルートをご案内できるでしょう。もちろん、Reactなど他のフレームワークを経験された方にとっても、比較対象としてのVueに関心を持っていただき、その魅力を知っていただくきっかけなれば幸いです。なにぶん変化の速い分野の技術書なので「末長く」とは申せませんが、読者の皆様の善き友としてご愛読いただけることを願っています。

長島優斗(ながしまゆうと)

1995年生まれ。25歳のときにフロントエンドからバックエンドエンジニアへの転身をqnoteにて経験。趣味は音楽鑑賞と猫吸い。特技はいつまでも寝られること。

久光未悠(ひさみつみゆ)

東京都立大法学部卒業後,株式会社qnoteに新卒入社。業務でVueを使っていたところ,Vue3アップデートの際に本書の執筆に参画することに。趣味はGoogleマップで行きたいリストを作成しては実際に巡ること。

東泉哲寛(ひがしいずみてつひろ)

1988年生まれ。元は大手のコールセンターで働いていたが,29歳でエンジニアを志し30歳でqnoteに入社。趣味は食べ呑み歩き,バドミントン。推しの猫社員は「りぼん」。

鶴田展之(つるたのぶゆき)

1968年生まれ。qnote代表取締役社長。猫好き・音楽好きの創業社長。『jQueryポケットリファレンス』『コーディングフォービギナーズPYTHON』(翻訳),『MySQL辞典』(共著)などがある。

株式会社qnote(かぶしきかいしゃきゅーのーと)

https://www.qnote.co.jp/

猫といっしょに仕事ができるオフィスとして有名。Webアプリケーションとネイティブアプリケーション開発(iOS,Android)や,WindowsやmacOSなどデスクトップアプリ開発にも定評がある。Web開発だけでなく,サーバー管理などのインフラ構築も得意とする。