「生成AIを使ったアプリを開発してみたい!」――本書は、そんなあなたのための一冊です。生成AIが誰でも簡単に使える時代が来て、チャットのインターフェースで調べ物をしたり、プロンプトの呪文(?)を投げて好みの画像を生成したりと日々の生活に役立つ用途が話題にのぼります。また、その一方で、個人で利用するだけでは飽き足らず、「生成AIを活用した新しいアプリを作って人々に提供してみたい」「業務システムに生成AIを組み込む方法を知りたい」、そんな思いを持つ方も増えているようです。
とはいえ、実際に動くアプリを作り上げるには、生成AIの使い方に加えて、エンドユーザーに見せる画面を作るフロントエンドの開発や、生成AIに命令を投げて結果を取得するバックエンドの開発など、さまざまな知識が必要になります。どうしましょう? 安心してください! GoogleCloudには、生成AIのサービスに加えて、フロントエンドからバックエンドまで、フルスタックの開発を支えるさまざまなサービスやツールが揃っています。
本書では、GoogleCloudを活用して、実際に動作する次の4つのアプリを開発する方法を学びます。
- 英文添削アプリ:入力した英文をAIが文法的に正しい文章に直したうえで、ネイティブ風のより洗練された表現を教えてくれる
- ファッションを褒めるチャットボット風アプリ:人物の画像をアップロードすると、その人のファッションをAIが褒め称えてくれる
- スマートドライブ:PDFドキュメントを保存すると、ドキュメントの要約テキストをAIが生成してくれる
- ドキュメントQAサービス:AIに質問すると、スマートドライブに保存したドキュメントから質問に関連したページを検索して、その内容をもとに回答してくれる
いずれもシンプルなアプリですが、生成AIアプリの開発に必要な要素がぎゅっと詰まった内容です。生成AIはまだまだ新しい技術のため、生成AIそのものの機能は今後も急速に変わっていくでしょう。しかしながら、「生成AIを活用したアプリを作る」ための基本となる技術は変わりません。生成AIアプリの開発に興味はあるけどどこから始めていいのかわからない、そんな方々が最初の一歩を踏み出す手助けになれば幸いです。
中井悦司(なかいえつじ)
1971年4月大阪生まれ。ノーベル物理学賞を本気で夢見て,理論物理学の研究に没頭する学生時代,大学受験教育に情熱を傾ける予備校講師の頃,そして,華麗なる(?)転身を果たして,外資系ベンダーでLinuxエンジニアを生業にするに至るまで,妙な縁が続いて,常にUnix/Linuxサーバーと人生を共にする。その後,Linuxディストリビューターのエバンジェリストを経て,現在は,米系IT 企業のAIソリューションズ・アーキテクトとして活動。
著書として,『[改訂新版]プロのためのLinuxシステム構築・運用技術』『ITエンジニアのための強化学習理論入門』(いずれも技術評論社),『TensorFlowとKerasで動かしながら学ぶディープラーニングの仕組み』『JAX/Flaxで学ぶディープラーニングの仕組み』(いずれもマイナビ出版)などがある。