ポートレート(人を撮る)専門のカメラマンとして20年近く、一般の方から芸能人まで、あらゆる女性を見て、撮影してきました。
写真を撮るたびに思うのですが、女性はみんな可愛くて美しくて、素敵です。年齢もスタイルも、関係ありません。それぞれ違って、それぞれ魅力的です。
目には、魔力にも似た、底知れない魅力があります。見つめられるだけで、気持ちが高まります。一重でも二重でも、大きくても小さくても、関係ありません。
ふとした仕草に上品さを感じたり、時に色気を感じたり。
しゃがむだけで、小さく可愛くなって、見上げるだけで、上目使いにドキッとさせられます。
でも、女性の写真を撮るたびにびっくりすることがあります。
可愛いと思って撮った写真を本人に見せると、「キモい」って言うんです。
「え?! こんなに可愛いのに……なんで?!」
あまりの評価の違いに、私は写真の腕を疑ってみるのですが、話をよくよく聞いてみると……
「(自分が嫌だなと思ってるところが写真に出てて)キモい」
そんな意味のようです。
興味を持った私は、女性たちに聞くようになりました。
「自分の顔や身体に、嫌なところ(コンプレックス)はありますか?」
そうしたら、出るわ出るわ……みんな、コンプレックスの塊でした。
なかには「え?! それ、魅力だと思うよ?」という、どう見てもポジティブなもの(身長が高いとか)もあったりして、私は混乱してしまいました。
こっちは「可愛いな」「素敵だな」と思いながら撮っていても、彼女たちは「嫌だな」「撮られたくないな」って思ってるのかもしれない……
そこで私は、心に決めたのです。
あなたがコンプレックスに感じてるところが、じつは魅力的であることを伝えたい。コンプレックスの見方を変えられるようにしたい。
つい隠してしまう、コンプレックス。嫌だなと感じる自分のコンプレックスを、少しでも好きになってもらえたら……。
こんなにうれしいことは、ありません。
あわよくば、コンプレックスを武器に変えて、自分らしく生きられるようになりますように。
青山裕企(あおやまゆうき)
写真家。
1978年,愛知県名古屋市生まれ。2002年,自転車日本縦断と世界2周の旅の道中で,写真の道で生きることを決意。2005年,筑波大学人間学類心理学専攻卒業(卒論テーマ:テンションの上げ方)後,上京して写真家として独立。2007年,キヤノン写真新世紀優秀賞(南條史生選)受賞。ギャラリー・出版レーベル・オンラインコミュニティを運営。現在,東京都在住。
『ソラリーマン』『SCHOOLGIRL COMPLEX』『少女礼讃』など,“日本社会における記号的な存在”をモチーフにしたポートレート作品を制作。2009年より写真集などの著書を刊行,現在100冊を突破(翻訳版も多数)。『SCHOOLGIRL COMPLEX』は,2013年に映画化,写真集は累計10万部以上のベストセラーとなる。
吉高由里子・指原莉乃・生駒里奈・オリエンタルラジオなど,時代のアイコンとなる女優・アイドル・タレントの写真集の撮影を担当。一般人からトップアイドルまで,年間200人以上,延べ5,000人以上の女性を撮影。広告・企業・雑誌のグラビア・書籍の装丁・CD・アーティスト写真など,ポートレート撮影を中心に活動。撮るだけでなく,書く仕事(エッセイ・写真実用書),教える仕事(講演・ワークショップ・講師)などもおこなう。TV・ラジオなど,メディア出演多数。
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