著者の一言

インターネットが普及した現在、サイバー攻撃や情報漏えい事件がニュースをにぎわしており、セキュリティの重要性がますます高まっています。セキュリティが求められるのは、機密情報を扱う従業員に限らず、営業や総務、エンジニアを含め、すべての従業員です。そして、学生や主婦にとってもセキュリティは重要といえます。現代のネット社会では、PCが不正にアクセスされるリスク、スマートフォンにある個人情報の情報漏えいのリスクが存在するからです。

書店には多くのセキュリティ関連書籍がありますが、その多くは難解であり、かつ、覚えるべき言葉や技術がたくさんあります。あまり難しい本だと、読んでいて嫌になってしまいます。そこで、セキュリティの初学者の皆さんに、わかりやすく解説するために、マンガを取り入れることにしました。各節の冒頭に8コママンガを入れ、本文中にも挿絵や図解を入れることで、視覚的にイメージをつかんで記憶に定着できるよう工夫しています。

また、マンガが真面目一辺倒にならないことを意識しました。難しいセキュリティの解説を単にマンガにしただけだと、難しいままです。どうしたら楽しく読んでいただけるかを考え、少し遊び心を入れました。真面目な本書に「オチ」を入れる必要はありません。ですが、肩の力を抜いて気楽に読んでもらえるよう、マンガ家さんと一緒に最後のコマに頭を悩ませました。正直言うと、本編の解説よりも、そちらのほうが頭を使った気がします(笑⁠⁠。

さて、セキュリティを学ぶ意義について少し述べさせていただきます。セキュリティの基礎知識がないままでは、意味のないセキュリティ対策をしたり、必要以上にセキュリティを高めて業務効率を悪くする可能性があります。また、セキュリティ対策の有効性を理解せずに実施すると、⁠こんな対策に意味があるのか?」と、対策にも身が入りません。正しい知識を身につけることは、適切なセキュリティ対策を行うためにとても重要なのです。

本書はセキュリティの基本を学ぶ書籍ですが、情報セキュリティマネジメントや情報処理安全確保支援士などの国家資格を目指す方にも配慮しています。試験のキーワードも一定程度網羅しており、試験対策の副読本としても役立てていただけるでしょう。

最後になりますが、本書が皆さまのセキュリティ意識向上の一助となり、セキュリティに関する知識の礎を築くお手伝いができれば幸いです。

左門至峰(さもんしほう)

ネットワークとセキュリティの専門家。株式会社エスエスコンサルティング代表。執筆実績として,情報処理安全確保支援士試験対策『支援士』シリーズ(技術評論社),ネットワークスペシャリスト試験対策『ネスペ』シリーズ(技術評論社),『FortiGate で始める 企業ネットワークセキュリティ』(日経BP社),『日経NETWORK』(日経BP社)やThinkITでの連載などがある。保有資格は,情報処理安全確保支援士,CISSP,技術士(情報工学),ネットワークスペシャリスト,システム監査技術者,プロジェクトマネージャなど多数。

厚焼サネ太(あつやきさねた)

フリーのイラストレーターとして似顔絵とコミックイラストを主に制作。一児の母でもある。『ネスぺR3』『ネスペR5』エッセイイラスト担当。機関紙『MOA自然農法』にて四コマ漫画「2にゃんとばあちゃん」連載。似顔絵作家「さね太」の名前で各種イベント,及び通販サイト「似顔絵おむすび」にて似顔絵受注制作中。オリジナルラインスタンプ「この子つちのこ」好評発売中。