著者の一言

1602年にオランダで発足した東インド会社が世界で最初の株式会社といわれています。以来、株式会社は今日、事業主体として、取引相手として、また働く場として不可欠なものとなっています。本書は主として、株式会社について定めた会社法のしくみと要点を、図解を用いてビジュアル化し、わかりやすくまとめたものです。

会社法では、最初に会社全体に関係する総則を設けています。そのうえで以降、株式会社の設立、設立後に事業を開始したり拡大したりするための資金に関わる株式、事業(会社経営)の決定と監督に関わる機関、1年間の事業の結果をまとめる計算(決算⁠⁠、合併や会社分割などの組織再編、会社の閉鎖(清算⁠⁠、そして株式会社以外の会社(持分会社)と外国会社、登記などの雑則、罰則という順番で定めています。

本書では、内容を理解しやすくするため、会社法の順番とは章立てを大きく変えています。まず第1章で会社法に関する基本的な用語を説明してから、前半の章では会社の活動の中心である株主総会や取締役会などの機関について解説しています(第2章から第5章まで⁠⁠。そして第6章では、株式会社の所有者たる株主と株式について、第7章では会社の決算と資金調達について、第8章では合併など会社の再編などについて、第9章では会社の設立と清算について、第10章では株式会社以外の会社について、それぞれ解説しています。

また会社法は、979条まである非常に膨大な法律ですが、重要な制度、あるいは会社法の全体像を理解するために必要な用語を中心に説明しています。各項目について、左ページで要点を解説し、右ページで解説の内容を図解することで、すべて見開きで完結させ、端的に理解できるようにしています。なお本文では読みやすさを重視し、法令の条文の引用は基本的に省略して、アイコンで条・項・号を表記しました。

本書が、株式会社に関わる多くの人にとって、少しでもお役に立つものであることを心より祈念しております。

(⁠⁠はじめに」より)

大坪和敏(おおつぼかずとし)

弁護士(馬場・澤田法律事務所) 東北大学法学部卒業,1997年弁護士登録(東京弁護士会),2014年~2017年司法研修所教官(民事弁護),2021年~2025年司法試験考査委員。複数の会社の社外役員を務めるとともに,毎年,弁護士として株主総会に関わっている。主な著書に『税理士が知っておきたい 債権回収50のポイント』(大蔵財務協会,2015年),『実践演習民事弁護起案』(共著,日本加除出版,2021年),『事例シミュレーション 新債権法の実務』(編集代表,ぎょうせい,2023年)『図解 会社法(令和6年版)』(共著,大蔵財務協会,2024年)。