未来エコ実践テクノロジー 図解でわかる熱エネルギー ~カーボンニュートラルを実現する熱利用技術⁠~

「図解でわかる熱エネルギー」のカバー画像
著者
一般財団法人 エネルギー総合工学研究所いっぱんざいだんほうじん えねるぎーそうごうこうがくけんきゅうじょ 編著
定価
2,970円(本体2,700円+税10%)
発売日
2025.6.4
判型
A5
頁数
272ページ
ISBN
978-4-297-14867-6 978-4-297-14868-3

概要

カーボンニュートラル実現に向けて各業界が技術開発を進める中,資源の大半を輸入にたよる日本では,エネルギー不足が深刻となっています。

CO2を排出しないとされる電力ですが,現在日本では化石燃料を使用する火力発電が主体となり,電気をつくる段階でCO2の排出量が多くなっています。これにより太陽光,風力などの再生可能エネルギーの導入が急ピッチで進められていますが,それだけでは民生,産業での電力をまかなうことができないのが現状です。

カーボンニュートラル化を進めつつエネルギー不足を解消するためには,極力化石燃料にたよらないエネルギーを選択する必要があり,電化が難しい鉄鋼などの産業分野では排熱を利用する技術の実証実験,一部導入が進められています。世界の最終エネルギー消費に占める熱需要のシェアは50%といわれており,電化が難しい産業,貨物輸送,都市ガスなどについては省エネやヒートポンプを組み合わせた熱利用技術,民生では高効率住宅(ZEH)というような分野での熱の有効利用が鍵になります。

本書では,好評既刊の「図解でわかるカーボンリサイクル」「カーボンニュートラル」「再生可能エネルギー×電力システム」を執筆したエネルギー総合工学研究所の国の政策に精通する著者陣が,国内外を含めた産業のみならず経済を踏まえた上で熱利用の現状,最新技術について解説します。

こんな方にオススメ

  • ヒートポンプ,蓄熱利用技術などなどの熱利用技術について知りたい学生,産業関係の方
  • 排熱を利用した省エネ技術について知りたい産業関係の方

目次

第1章 カーボンニュートラルの鍵を握る熱エネルギー

  • 1.1 カーボンニュートラルに向けた世界の動向
  • 1.2 熱エネルギーとカーボンニュートラルの関係について
  • 1.3 熱エネルギーのカーボンニュートラル化
  • Column1 カーボンニュートラルの市場メカニズム
  • 1.4 世界のエネルギー利活用動向
  • 1.5 世界の部門別のエネルギー需要
  • 1.6 世界の産業で利活用される熱エネルギー
  • Column2 気候変動の悪影響にともなう損失と損害の支援

第2章 日本の熱エネルギー需要と供給

  • 2.1 日本のエネルギーの利用状況
  • 2.2 日本の未利用熱の現状
  • 2.3 日本の省エネルギーの状況
  • 2.4 未利用熱を有効利用する

第3章 カーボンニュートラル社会の熱利用技術

  • 3.1 産業分野で使用される熱利用技術
  • 3.2 熱供給に必要な技術
  • 3.3 熱利用技術の運用
  • 3.4 国による熱利用の研究開発

第4章 熱をつくる・変換する技術

  • 4.1 熱のもとになる投入エネルギー
  • 4.2 熱利用機器の種類
  • 4.3 排熱の利用
  • 4.4 熱利用機器の課題

第5章 熱を貯める・運ぶ技術

  • 5.1 熱を貯める蓄熱方式の種類
  • 5.2 サーモクライン蓄熱:固体顕熱蓄熱の仕組み
  • 5.3 そのほかの蓄熱技術
  • 5.4 熱を運ぶ技術

第6章 熱を管理する技術

  • 6.1 熱を管理する技術とは
  • 6.2 エネルギーマネジメントとは
  • 6.3 熱のEMS技術の特徴
  • 6.4 熱のEMS技術の導入事例

第7章 ZEBとZEHの熱利用技術

  • 7.1 民生部門でのエネルギーの使われ方
  • 7.2 省エネを実現するZEBとZEH
  • 7.3 ZEBとZEHの認証制度
  • 7.4 ZEBとZEHの導入目標と進捗状況
  • 7.5 ZEBとZEHの技術開発の方向性
  • 7.6 カーボンニュートラルを目指したZEBとZEH

第8章 熱の複合システム

  • 8.1 地域熱供給の熱供給事業
  • 8.2 熱供給事業法の対象外になる建物の法的解釈
  • 8.3 熱の面的利用に合わせた分散型エネルギーの必要性
  • 8.4 熱供給システムの具体例
  • 8.5 国内の熱供給システムの最新事例
  • 8.6 ドイツのシュタットベルケに学ぶ地域分散型発電
  • 8.7 地域熱供給の変遷
  • 8.8 2030年に向けた熱供給の在り方
  • 8.9 熱供給事業の課題と将来展望
  • Column3 カーボンニュートラルには冷熱も大切

第9章 石油化学コンビナートの熱を連携する技術

  • 9.1 コンビナート熱の有効利用
  • 9.2 熱エネルギーの削減余地の把握
  • 9.3 コンビナート熱を有効利用するための最新技術

第10章 熱の利活用に関する業界の取り組み

  • 10.1 産業部門のエネルギー起源CO2 排出量
  • 10.2 鉄鋼業界のCO2 排出量を減らす取り組み
  • 10.3 化学工業界のCO2 排出量を減らす取り組み
  • 10.4 自動車業界のCO2 排出量を減らす取り組み
  • 10.5 セメント業界のCO2 排出量を減らす取り組み
  • 10.6 製紙業界のCO2 排出量を減らす取り組み

第11章 熱エネルギー技術の今後の展望

  • 11.1 日本のエネルギー利用状況
  • 11.2 企業・事務所部門の熱エネルギーのカーボンニュートラル化
  • 11.3 カーボンニュートラルを見据えた省エネルギー対策
  • 11.4 今後期待される熱利用の技術開発
  • 11.5 カーボンニュートラル化に必要な熱エネルギー
  • 11.6 カーボンニュートラル実現のための熱エネルギー施策提言

プロフィール

一般財団法人 エネルギー総合工学研究所いっぱんざいだんほうじん えねるぎーそうごうこうがくけんきゅうじょ

国のエネルギー技術戦略策定や,さまざまなエネルギー分野の調査研究を受託。

再生可能エネルギー,カーボンリサイクル,カーボンニュートラルなど,脱炭素エネルギーシステム分野での最先端の情報を有する。

既刊:「図解でわかるカーボンリサイクル」「図解でわかるカーボンニュートラル」「図解でわかる再生可能エネルギー×電力システム」他