著者の一言

「お酢を使うのが上手ですね」と声をかけていただくことがあります。

酢は1年を通じて便利に使える調味料ですが、頼もしさを発揮するのは、やはり夏。食欲を刺激したり、料理の保存性を高めたりと活躍してくれます。年々暑さが増している日本の夏をすこやかに乗り切るためにも、酢をこれまで以上に料理に取り入れて、からだを整えたいものです。

酢を使うとどんな料理も酸っぱくなると考える人が多いようですが、酢の働きは、料理に酸味を加えてさっぱり仕上げるだけではありません。加熱したり、ほどよい量を使うことで、料理にまろやかさやコクを与えてくれます。米酢、穀物酢、果実酢など、酢には原料によってさまざまな種類があるので、好みに合うものを探して楽しむこともできます。

旅先で直売所などを訪れる機会があれば、その土地ならではの酢に出会えるかもしれません。いつもの料理の酢を変えたり、ドリンクにしたりと、ぜひ「新しい出会い」を楽しんでみてください。

なじみ深い調味料でありながら使い方がワンパターンになりがちな、酢。この本で酢の使いこなしに慣れて料理が楽しくなる、そんな「初めの一歩」のお手伝いができればうれしく思います。

角田真秀(すみだまほ)

料理研究家。美術系短大を卒業後,実家の飲食店の手伝いを経て2015年に独立。ケータリングや料理教室,企業のレシピ監修や雑誌へのレシピ提供,書籍出版,NHK「あさイチ」など番組出演ほか多方面で活躍中。

国内の農産物や生産者を応援する活動にも力を入れている。著書に『塩の料理帖 味つけや保存,体に優しい使い方がわかる』( 誠文堂新光社)『しみこむスープ』(主婦の友社)などがある。

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