図解即戦力
図解即戦力
旅行業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書
- 鮫島卓,秋山友志 著
- 定価
- 1,760円(本体1,600円+税10%)
- 発売日
- 2025.10.2
- 判型
- A5
- 頁数
- 240ページ
- ISBN
- 978-4-297-15142-3 978-4-297-15143-0
サポート情報
概要
本書は業界知識をオールカラー&図解でわかりやすく解説する「図解即戦力」シリーズの旅行業界篇です。
旅行業界は2020年のコロナショックで売り上げが9割減少するなど大きな打撃を受けましたが、コロナウイルス流行の世界的な終息や全国旅行支援の後押しを受けるなどの影響で徐々に業績が回復しつつあります。政府はインバウンド数の目標を当初の2,000万人から4,000万人に押し上げるなど、旅行需要は右肩上がりに上っていくと予想されており、旅行業界はコロナを切り抜けつつあると言えるでしょう。
一方で、コロナを挟んで旅行者のニーズは大きく変化を遂げており、旅行業界は新しい旅行需要にも応えていきつつ、従来型の旅行にも対応する必要にも迫られています。現在は、従来型の旅行からポストコロナ時代のライフスタイルに合わせたニューツーリズムへの過渡期と言えるでしょう。
そうした状況を踏まえ、本書はアフターコロナの旅行業界の現状と今後の動向をこの1冊でわかりやすく解説します。具体的には、旅行業界の基本的な知識から法令、業種と職種、業界・企業研究、インバウンド・マーケティングなど幅広いトピックを取り上げます。観光学研究のトップを走る2名の先生が、新しい旅行業界の形をわかりやすく、かつ詳しく解説します。
こんな方にオススメ
- 就活や転職で旅行業界を志望する大学生・専門学生、転職希望者
- 旅行・観光業界の関係者
- 旅行・観光業界で開業・新規事業を検討する人
- 旅行・観光業界への投資に興味がある人
目次
Chapter 1 旅行業界の最新状況
- 1 世界の国際観光の動向と観光の重要性
- 2 ポストコロナにおける日本の旅行市場
- 3 日本経済の成長エンジンになるインバウンド
- 4 回復途上にあるアウトバウンドの動向
- 5 ビジネスモデルを変革するOTAとダイナミックパッケージ
- 6 市場を牽引するインフルエンサーとデジタルマーケティング
- 7 新風を巻き起こすトラベルテックの動向
- 8 コロナ禍で普及したバーチャルツアーのゆくえ
- 9 行先より目的が重視されるテーマ旅行が人気
- 10 旅行業界の新たな柱として期待されるMICE事業
- 11 ディズニー参入で脚光を浴びるクルーズ旅行の期待と課題
- 12 交流人口の創出と地域振興ビジネス
- 13 増加する地域限定旅行業者と着地型観光の動き
- 14 コロナを契機とした大手旅行会社の多角化の動き
- コラム1:「観光は平和へのパスポート」と旅行業の役割
Chapter 2 旅行業界の基礎知識
- 1 旅の三要素:「アゴ」「アシ」「マクラ」と旅行業者
- 2 旅行会社の業態による分類
- 3 旅行商品の造成から卸売までを行うホールセラー
- 4 旅行商品の販売を担うリテーラー
- 5 旅行業界の市場規模とその特徴
- 6 旅行会社の扱う旅行商品:企画旅行と手配旅行
- 7 旅行会社が旅行計画を作成・実施する「企画旅行」
- 8 旅行会社が旅行者の代理で手配する「手配旅行」
- 9 日本の旅行業の歴史
- 10 国内・海外・訪日旅行者数の推移から見る旅行のトレンド
- 11 コロナショックによる旅行業界への影響
- コラム2:「旅行」と「観光」の違いとは?
Chapter 3 旅行業界に関わる法律と政策
- 1 旅行業者の活動を定める旅行業法
- 2 旅行業の登録制度と種類
- 3 旅行業の登録手続きと要件
- 4 標準旅行業約款による旅行契約
- 5 企画旅行における旅程保証と特別補償規定
- 6 日本における観光振興を掲げた観光立国推進基本法
- 7 観光立国推進基本法に基づく観光立国推進基本計画
- 8 地域振興を推進する観光圏整備法と観光地域づくり法人(DMO)
- 9 多様化する宿泊業を規定する旅館業法と民泊法
- 10 時代の変化に合わせた規制緩和策(ガイド規制、送迎規制)
- コラム3:広がる宿泊税と求められる経済効果の可視化
Chapter 4 旅行業界のビジネスモデルと商品
- 1 手数料が旅行会社の主な収入源
- 2 「旅行」という形のない商品の特性
- 3 旅行商品の企画の流れ
- 4 意外に知られていない旅行商品の流通
- 5 個人旅行と団体旅行
- 6 レジャー目的とビジネス目的の旅行
- 7 自治体・事業者を支える旅行会社の業務
- 8 旅行業が学校で活躍する教育旅行(修学旅行)
- 9 旅行会社が扱う旅行以外の商品
- 10 旅行商品を代理して販売する旅行業者代理業
- 11 専門特化型の旅行会社
- 12 オンラインでの業務に特化したOTA
- 13 地域の観光資源の活用を促進する地域限定旅行業者
- コラム4:ダイナミックパッケージとは
Chapter 5 旅行業界の仕事と働き方
- 1 インバウンド業務とアウトバウンド業務
- 2 ツアーを企画し商品化する:ツアープランナー
- 3 サプライヤーと契約し各種条件を決定する:仕入
- 4 旅行会社のデジタル化を支える仕事:ICT担当
- 5 旅行素材を手配して旅行商品を完成させる:手配(オペレーション)
- 6 旅行商品について申し込みや問い合わせを受ける:個人営業
- 7 企業や学校、各種団体などに旅行商品を販売する:法人営業
- 8 旅行中に参加者をサポートする:ツアーコンダクター(添乗員)
- 9 旅行業者に必須の国家資格:旅行業務取扱管理者
- 10 旅行業務に有用な能力や知識を磨く:さまざまな資格
- 11 グローバルな観点と豊富な知識を持つ証:世界遺産検定
- 12 旅行業界で働くために求められる資質・スキル
- 13 旅行会社の選考の流れ
- コラム5:ツアープランナーの社会的責任
Chapter 6 旅行業界の企業研究
- 1 旅行業界の“トップランナー”JTB
- 2 海外旅行に強いHIS
- 3 鉄道系の旅行会社(KNT-CTホールディングス、日本旅行、阪急交通社)
- 4 航空系の旅行会社(ANA X、ジャルパック)
- 5 地域に強みを持つ旅行会社(アーストラベル水戸)
- 6 海外の旅行会社(エクスペディア、ブッキング、トリップ、トゥイ)
- 7 旅行系のベンチャー企業(ベルトラ、アソビュー、アクティビティ)
- 8 レジャー・テーマパーク業界
- 9 宿泊業界
- 10 交通業界
- コラム6:旅行の促進と観光業の発展に寄与する2つの関連団体
Chapter 7 ネット専業の旅行会社(OTA)の企業研究
- 1 OTAの業態とビジネスモデル
- 2 国内最大級の旅行予約サイトを運営:じゃらん
- 3 グループ内事業との連携が強み:楽天トラベル
- 4 「仕入力」「システム開発力」を備える:エアトリ
- 5 性質の異なる2つの旅行予約サイト:Yahoo!トラベルと一休.com
- 6 旅行業の領域を拡張した新サービスの登場
- コラム7:AIで変わる旅行業と観光ビジネス
Chapter 8 旅行業界のインバウンドマーケティング
- 1 インバウンドの現状をデータから分析する
- 2 インバウンド回復の目標が掲げられた観光立国推進基本計画
- 3 インバウンド獲得に向けた関係省庁の取り組みと施策
- 4 インバウンドに対する旅行業者各社の取り組み
- 5 SNSやWebメディアを活用したインバウンド向けマーケティング
- 6 オーバーツーリズムの問題をどう解決するか
- 7 インバウンド向け民泊に関する法令と現状
- 8 夕方以降の滞在需要「ナイトタイムエコノミー」への注目
- 9 リピーター獲得と1人あたり消費額の拡大がカギ
- 10 MICEのビジネスイベントをどう生かすか
- コラム8:SNSで話題となった地域への影響は?
Chapter 9 旅行業界の抱える課題と未来動向
- 1 減少する募集型企画旅行と企画力を活かす取り組み
- 2 国際観光の地域格差とツーウェイ・ツーリズム
- 3 観光産業の労働生産性に影響する観光需要の季節変動と休暇制度
- 4 地場産業の高付加価値化を媒介する観光産業の取り組み
- 5 旅行業の救世主となるか? TaaSをめぐる動き
- 6 少子化と旅行費用の高騰で変化を迫られる教育旅行
- 7 「学び」と「休暇」を組み合わせた「ラーケーション」
- 8 世界と日本の統合型リゾート(IR)の動き
- 9 観光行動を変革するリニア中央新幹線と超音速旅客機のゆくえ
- 10 どこまで来ている? 宇宙旅行の現在地と未来
- 11 全国に広がる観光系大学と産学のミスマッチ
巻末付録
- 旅行業界地図
- 観光を学べる主な大学、大学院、専門学校
- 資料編
プロフィール
鮫島卓
駒沢女子大学観光文化学部教授。鹿児島県生まれ。立教大学大学院博士前期課程修了(観光学)。大手旅行会社で海外・国内・訪日旅行のツアー企画のほか、経営企画、テーマパーク再生事業に従事。2018年より現職。専門は観光経済学、観光マーケティング。研究領域は、アグリツーリズモの集積と発展メカニズム、地場産業の観光によるイノベーション。文化庁有識者委員、旅と学びの協議会理事。世界80ヶ国訪問、「地球を遊び尽くす」がライフワーク。
秋山友志
横浜商科大学商学部観光マネジメント学科准教授、「自分と出会う旅工房」代表。神奈川県生まれ。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修士課程修了(MBA:経営学修士)。NPO職員、私立高校商業科の非常勤講師などを経て、大手旅行会社で法人団体営業(教育旅行)に従事。2012年に個人事業主として「自分と出会う旅工房」を開業。2013年より現職。研究領域は、観光まちづくり(特に着地型観光やまち歩き観光)、観光教育、エコツーリズムなど。