日夜、情報システムの現場で、デジタル化や業務改善に尽力されている情報システム担当者の皆さん、あるいはシステムエンジニアの皆さん、日々のお仕事、本当にお疲れさまです。日本の洗練された製品やサービス、それを可能にするための高度な情報システムは、皆さんのご尽力に支えられていると感じています。
さて、突然ですが、そんな皆さんに質問です。皆さんは、今どんなことに悩まれているでしょうか? 想像するに、以下のような悩みがあるのではないかと思います。
- 管理部門により、さまざまなシステムが導入されたが、あまり効果が出ていない
- 現場の仕事はほとんどシステム化されておらず、煩雑な管理作業に追われている
- システム化のアイデアはたくさんあるが、お金も時間も足りていない
本書『入門プリザンター』の執筆者、内田も約10年ほど前、皆さんと同じ情報システムの仕事に携わり、同じような悩みを抱えていました。その悩みを解決するために、一人で開発を始めたのが、本書で紹介する「プリザンター」です。
プリザンターは、以下の特徴を持ったノーコード開発ツールです。
- 管理業務を行うためのWebデータベースをノーコードで素早く開発できる
- オンプレミスでもクラウドでも環境を選ばずに導入できる
- オープンソースソフトウェアであり無償で利用することができる
特にオープンソースという点は、類似のソフトウェアやクラウドサービスには見られない特徴です。読者の皆さんは、エンタープライズ向けのソフトウェアが無償で利用できると聞くと、どのように思いますか?
- 無償版は制限が多く、有償版にしないと使い物にならないのではないか
- 一般的な商用のソフトウェア・サービスと比べて、著しく機能が低いのではないか
- 突然動かなくなったり、使えなくなったりするのではないか
- 開発が終了してメンテナンスされなくなってしまうのではないか
プリザンターを初めて知った方は、このような不安を感じるかもしれませんが、だまされたと思って、ぜひ本書をお読みください。実際にプリザンターに触れることで、こうした不安はすぐに払拭されるはずです。そして、これまでの情報システムの現場にはなかった新しい解決策を手に入れることができると思います。
プリザンターは「知る人ぞ知る」ソフトウェアですが、すでに多くの実績を積み重ねています。その実績は、さまざまな業界での導入や活用を通じて、着実に広がりを見せています。2016年のファーストバージョンのリリースから進化を続け、現在、大手金融機関、自治体、グローバル製造業などのエンタープライズでの導入事例が多数公開されています。また、プリザンターをビジネスの道具として活用しているパートナー企業は、本書執筆時点で130社を超えました。これらのパートナー企業はプリザンターを活用したさまざまなソリューションを提供しており、プリザンターをプラットフォームとしたエコシステムを形成しています。
今回、本書を執筆したのには、入門書を作ることでプリザンター利用の敷居を下げたいという開発者としての想いがあります。また、プリザンターを一人でも多くの人に知ってもらい、支援してくれる方々とともに、現場の管理業務をより良くしたいという思いも込められています。本書には、プリザンターの概要と、その活用方法を示す導入事例に始まり、インストール方法や基本的な操作方法、具体的なアプリケーションの開発手順、セキュリティや便利な機能について、紙面の許す限り盛り込みました。また、アプリケーション開発の手順を実施する際に参考となるよう、スクリーンショットを多数掲載しています。読者の皆さんができるだけ迷わずに手順を実施できるよう工夫しました。
ぜひ、本書とともにプリザンターによるノーコード開発を体験してみてください。これまで莫大なコストがかかっていた企業の業務システムが、驚くほど短い期間でランニングコストの低いシステムに生まれ変わるかもしれません。プリザンターの開発者として、また本書の著者として、本書が読者の皆さんの管理業務の快適化に役立つことを切に願っております。
最後に、導入事例の取材にご協力いただき、組織での活用のノウハウを惜しみなくご提供いただいた、株式会社りそな銀行様、岐阜県様、本田技研工業株式会社様に厚く御礼申し上げます。また、本書を世に送り出すにあたり、多大なご尽力を賜りました編集者の木津様、本書執筆の機会を作っていただいたファーエンドテクノロジー株式会社の前田社長、本書の執筆に際し、執筆時間の確保にご協力いただいた株式会社インプリム社員の皆さん、そして執筆を支えてくれた家族に心より感謝いたします。