本書の構成

本書では、macOSでコマンドにはじめて接する方々に向けて、ファイル操作やテキスト処理など基本的なコマンドや学習しやすいコマンドを中心に取り上げています。実行例で示している内容は個人用のマシンを想定し、各コマンドは概ね見本どおりに入力して試せるようになっています。動作確認はmacOS Tahoe(タホ、26.2)で行いました。本書の構成は以下のとおりです。第1章から第3章は、とくに基本事項を重点的に扱っています。

1章 [入門]macOSとコマンドライン
⁠コマンド」を入力する場所や入力した内容のことを「コマンドライン」と言います。ここではコマンドラインがどのようなものかを少しだけ試しているほか、コマンドの使い方を理解する上で役立つ知識として、macOSの成り立ちや歴史、Unix系OSとの関係について簡単に紹介しています。
2章 ターミナルとFinderの基本
コマンド入力に使用するアプリケーションである「ターミナル」の設定や、普段見ている「フォルダ」がターミナルではどのように見えるかなどを確認する章です。後半のFinderとターミナルを連携させる方法は、コマンド入力に少し親しんだら、改めて読み返してみてください。
3章 シェル&コマンドラインの基礎
コマンドラインの基礎部分を取り上げた章です。入力時に楽をする方法やコマンドの組み合わせ方などを扱います。最後に、macOSを操作する上で重要な意味を持つroot(ユーザ)についても解説しています。3章までを把握すれば、コマンドラインの日常的な利用ができるようになるでしょう。
4章 ファイルシステム
ファイルを管理する際の考え方と、それを実現させた機構をファイルシステムと言います。ここでは、ファイルシステムを操作する際に使われる用語やディスクユーティリティとコマンドラインでの表示の対応などを解説します。
5章 ファイル&ディレクトリの探検
コマンドによるファイルやディレクトリの操作について扱います。普段Finderで操作しているようなことが、コマンドラインでできるようになるでしょう。実際に試せるように、テスト用のファイルを作成していますのでぜひ同じコマンドを入力してみてください。
6章 ファイルの属性とパーミッション
ファイルやディレクトリについてさらに理解を深めるための章です。ファイルの所有者や更新日時などの情報をどのように確認するか、あるいは、読み書き可能などの許可をどのように設定するか、また、ファイルを探したり圧縮したりといった操作についても扱います。
7章 シェルの世界[zsh/bash対応]
ファイルの操作を通じてコマンドラインに慣れてきたら、シェルについて少し詳しく学習してみましょう。本章ではmacOSの標準シェルであるzshの操作と環境設定について解説します。また、かつての標準シェルであり、Linuxなど他OSでなどで触れることも多いbashについても補足的に扱います。
8章 テキスト処理とフィルター
コマンドラインの得意分野であるテキスト処理の章です。まずは表示に関するコマンド、続いて並べ替えや置換などの簡単な加工を扱い、最後に高度なテキスト処理としてgrepと正規表現、sed、awk、vi(vim)コマンドを扱います。
9章 プロセスとコマンドの関係
プロセス関連のコマンドによってmacOSで現在何が行われているかを調べ、シグナルによって実行中のプロセスに対して働きかける方法を扱います。また、ジョブコントロールやシステムを再起動する方法なども取り上げています。
10章 システムとネットワーク
システム全体の情報とネットワーク、そしてシステムのメンテナンスについての章です。これらの項目は、macOSでは基本的にGUIで操作しますが、コマンド操作に置き換えることで使い勝手が向上するかもしれません。
11章 Homebrew×パッケージ管理
Homebrewはソフトウェアのインストールやアップデートなどを安全に効率良く行う「パッケージ管理システム」の一つです。パッケージ管理システムの役割と、Homebrewの具体的な利用方法を紹介します。
Appendix コマンドラインで広がる世界
最後に、コマンドラインを実際に使っていく具体例として、おもに研究や学習課題、開発の場で使われることが多いDocker、Python、GitとGitHub、そして小型コンピュータ「Raspberry Pi」を取り上げます。
Dockerでは「コンテナ」と呼ばれる仮想環境を実際に作り、コマンドで操作します。Git/GitHubでは、バージョン管理における基本操作と共有の流れを扱います。Pythonではvenvで目的別の環境をつくる方法を確認し、Dockerと組み合わせた環境構築も行います。Raspberry Piは仮想ではなくリアルに動く「別のUnix系環境」です。ここではmacOSで起動用のSDカードを作成し、起動したRaspberry PiにmacOSからリモート接続します。コマンドラインを用いることで幅広い操作が可能であること、またmacOSのコマンドライン知識があれば他のUnix 系OSを同じように操作できることが実感できるでしょう。
前見返し
後見返し
[基本コマンド&オプション]クイックリファレンス
本編で登場したコマンドを中心に、便利なコマンドの基本の使い方と主要オプションを紹介しています。本編での登場箇所も掲載していますので、あわせて参考にしてみてください。

西村めぐみ(にしむらめぐみ)

生産管理のパッケージソフトウェア開発およびサポートに携わる中,Linux関連の書籍および雑誌での執筆活動を経て㈱マックス・ヴァルト研究所に入社し,マーケティングリサーチの企画および実査を担当。その後,PCおよびMicrosoft Officeのeラーニング教材作成・指導,新人教育にも携わる。現在は会計分野を中心に,kintoneやExcelを用いたデータ加工・業務改善に従事。おもな著書は『図解でわかるLinuxのすべて』(日本実業出版社),『シェルの基本テクニック』(IDGジャパン),『Linux+コマンド入門』『TCP/IP&ネットワークコマンド入門』『標準SQL+データベース入門』(技術評論社)など。

新居雅行(にいまさゆき)

フリーランスとして,システム開発,コンサルティングを主業務とする。iOS,macOS,サーバ,データベース,FileMaker,Webアプリケーションがおもなフィールド。DB連動Webアプリケーション向けのフレームワーク「INTER-Mediator」の開発者。代表的な著作は1990年代の『Macintoshアプリケーションプログラミング』(上下巻,ディ・アート)など。国立情報学研究所特任研究員。電気通信大学大学院修了。博士(工学)。