ビジネスメール事始め

春爛漫。真新しいスーツに身を包んだ、新社会人が眩しい季節です。ケータイメールは慣れているけれど、ビジネスでメールのやりとりをするのは初めて、という新社会人は多いでしょう。また、なかなかビジネスメールがうまく書けない、と思っているベテランの社会人もいらっしゃると思います。そんなみなさまの心強い味方として、多くの方から支持を頂いている『ビジネスメールものの言い方辞典⁠』⁠。著者の(⁠株⁠)シーズさんにビジネスメールの心得についてお聞きしました。

ビジネスでメールを書くとき、まず心がけたいことは?
理想は、相手の立場に立つこと、受け取る人の気持ちを考えること。
ですが、用件が伝わるかどうか、冷静で客観的な視点が必要で、これがなかなか難しい……。なので、相手になりきったつもりでメールを読み返します。誤字脱字、とくに数字の確認はもちろんですが、どういう印象をうけるか感じとる習慣をつけます。なりきるために自分宛に送ってちょっと時間をおいて読んでみる、第三者に見せて用件が伝わる文面かをチェックしてもらうのもいいと思います。
その辺は、メールの文章も、紙の文章も同じですね。
第一は、用件(5W1H)が過不足なく正確に伝わることです。まずは余計な装飾を省いて要点を簡潔に。文面のベースは、文例集などを参考にされるといいでしょう。
そのうえで、「⁠言葉を選ぶ」ことを意識してみるといいと思います。用件は伝わっても、相手の心証を害してはビジネスに支障をきたします。たとえば、「⁠~してください」と言い切るよりは、「⁠~をお願いできますか?」としたほうがソフトです。一方でまわりくどい表現を嫌う人も。その加減は、相手との関係にもよるでしょう。
言葉はあくまで書き手がその人自身のものとして使うもの。『⁠ものの言い方辞典』では、言い換えの言葉も含めて慣用句的な言い回しをカテゴリ(シーン)別に載せましたが、そのときどの言葉がふさわしいかは、本当のところ本人にしか判断できないと思います。相手がどう感じるかを思いやって言葉を選ぶ、『⁠ビジネスメール ものの言い方辞典』は、そのための手がかりとして使ってもらえるとありがたいと思います。
メール上手になるためのコツとかありますか?
手軽にできるのは、自分がもらったメールを読んで、いいと思った表現は取り入れ、どうかなと思った表現は使わないことです。それと、できればくどい言い回しはほどほどに。丁寧にしたいあまりに「ございます」「⁠おります」を乱用したり、強調したい事柄をくり返し書いたりすると、かえって要点がわかりづらくなることがあります。「⁠ですます」や「体言止め」でシンプルにしたうえで、最後にど丁寧な一文(⁠「⁠期待もうしあげておりますので、なにとぞなにとぞお願いいたします」など)を添えるとか、一番重要な箇所にのみ強調する形容詞を入れる(⁠「⁠『⁠必ず必ず絶対に』25日までに~⁠」⁠)とか、文章に強弱、アクセントをつけるといいかもしれません。
また、相手によってですが、くだけた表現を使うのも「伝えたいことをうまく伝える」ために有効です。「⁠様」を「さま」とひらがなにするだけでも印象が違います。「⁠お願いしたいのですけど……。」と「……」でとまどいや含み表現する手もあるでしょう。「⁠進行しとります。」と方言を加えても許されるかもしれません。
文例集や言葉のリファレンスで基本をおさえてもう一歩進むには、より多くの表現にふれて、それを使ってみることかなと。いまは、blogや掲示板でいろいろな人が書く文章を読むことができます。それを読んで、伝わった、わかりやすい、高圧的だな……と読み手として感じ取る。「⁠具体的な表現」と「読んだ印象」を自分のなかに蓄積できるといいと思います。