反復学習ソフト付き SQL書き方ドリルは、2007年の刊行以来、現在第7刷に達し、現在もコンスタントに増刷し続けているロングセラー書籍です。商品寿命が短く、商品の入れ替わりが早いとされるコンピュータ専門書というジャンルの中で、本書はなぜ5年以上もの間、読まれ続けているのでしょうか。ここではその理由に迫っていきます。
ネコかわいい
いきなりSQLとは何のかかわりもない話しで恐縮ですが、本書では随所にネコのイラストが登場します。それも、ちょっと「ゆるキャラ」っぽい、かわいいネコです。このネコが、DBMSの問い合わせ言語であるSQLを学ぶという、ほとんどが業務用途で本書を手に取るであろう方にとって、読み進める中で心のオアシスになり続けてくれるのは心強いサポートかもしれません。本書では、「グループ単位で集計した結果を絞り込む」「複数テーブルの結合を行う」といった各単元ごとにまず、例題が出題されます。そして例題は、「上司ネコ」があれをしてくれ、というのに対して、主人公ネコがSQLを使ってどうやって解決するか、というスタイルです。こうしたイラストと共に例題が出題されるので、無味乾燥になりがちなSQL学習を、ラクな気持ちで続けることができるのです。
上司ネコが単元ごとにお題を出す
正しい書き順がわかる
「SQLには書き順がある。『SELECT』の次には『; 』を書かなきゃいけないんです」。これは本書著者の羽生章洋さんの言葉ですが、本書ではこの「書き順」を重視しています。正しい書き順にしたがってSQLを書くことを何度も何度も繰り返すことで、やがて複雑なSQLを書かなければいけない場面でも、すらすらと手が動くようになる。これが本書のゴールです。そしてそのために本書では、「SELECT」の次に「;」を書く。その次はFROM句を書く。という書き順を丁寧に繰り返しながら少しずつ、学習していきます。正しい知識を無理なく習得できるので、初心者の方にも優しい作りになっています。
素振り重要
「量は質に転化する」。これも著者の羽生章洋さんがしばしば口にする言葉です。本書では、何度も繰り返し「素振り」をすることで、SQLを利用する現場ですぐに手が動くという「質」を実現すべく、「ドリルパート」で各単元ごとに、レベルの同じ、似たような(けれども少しずつ読者が考える要素が増える)問題を何度も、読者に書いていただきます。本書にはSQUAT(スクワット)という、ドリルパートが学べる反復学習ソフトも付録として付いていますが、羽生さんがお薦めしているのは、まずはSQLを紙に書いてみること。自分の手で書くということで、自然と自分の頭で考えるようになるためです。そこで本書には、各単元の例題に対する答えをまず、読者が自分で書く欄があります。そして「練習問題」として、5題のドリルが出題されるようになっています。
学習ソフトでとことん反復
紙に書いて自分の頭で考えると言っても、SQLは実際には端末に打ち込むもの。そこで本書では前述のように、反復学習ソフトSQUATをCD-ROMに収録しています。入力したSQLが正解であればソフトの正誤判定バーがグリーン、間違いであればレッドになるようになっていますので、学習もスムーズに進めることができます(ただしSQUATは書き順の判定は行いません)。
反復学習ソフトSQUAT
こうしたしくみによって、現場で役立つSQLを書く力、データベースのしくみに合ったSQLを書く力を無理なく身につけることができる。これが本書の目指すところであり、発売以来、多くの読者に読み継いでいただいている理由といえます。