インターネットでかんたん確定申告

課税方法と所得の種類について知ろう

国税庁のホームページでは、目的に応じて必要な情報を入力しながら申告書ができてしまいます。その場合、所得区分や課税方法について、あまり意識しないと思いますので、ここで、かんたんに触れてみたいと思います。

なお、事業者を対象とした「青色申告」については、ここでは触れません。

収入と所得

税金は収入全体に対してかかるのではありません。収入から一定額を差し引いた残額に対し、一定の割合でかかります。この差し引く金額のことを「控除」と呼びます。普段、確定申告をしないサラリーマンでも「扶養控除」⁠配偶者控除」などの単語を聞いたことがあると思います。こういった収入から差し引ける控除を「所得控除」と呼び、14種類あります。

原稿料やアフィリエイトなどで収入のあるひとは、決められた範囲の「必要経費」を差し引くこともできます。

収入から経費などを差し引き、残った金額、つまり税金を計算する対象となる金額を「所得」と呼びます。

所得の種類と課税方法

所得は、サラリーマンが勤め先から受け取る給料収入をもとに計算される「給与所得」や不動産による賃料収入をもとに計算される「不動産所得⁠⁠、株式の売買をもとに計算される「譲渡所得」など10種類があります。そして、それぞれの所得の性質に応じて、算出方法がことなっているのです。

課税方法は、大きく分けると「総合課税」「分離課税」があります。総合課税とは、他の所得と合計して所得税の金額を計算するものです。そのため、所得の合計額が高額になればなるほど、税率が高くなります。

一方、分離課税は、所得ごとに税金を計算します。たとえば株式は、平成18年分の場合、税率10%です。株式の譲渡所得が1000万円あったとしても、税率が上がることはありません。

表1 総合課税と分離課税
総合課税分離課税
譲渡所得

ゴルフ会員権や貴金属などによる所得です。株式や土地などの売却は、分離課税となるのでここには含まれません。

雑所得

給与所得、事業所得、不動産所得、一時所得、配当所得、譲渡所得、利子所得、山林所得、退職所得に該当しない所得をいいます。公的年金や外貨預金の為替差益、FXなどです。

給与所得

会社から受け取る給料を給与収入といいます。パート・アルバイトも給与収入となります。給与収入の金額に応じて一定の控除計算を行ったものを「給与所得」と呼びます。

事業所得

個人事業や農業による収入から必要経費を引いた所得をいいます。⁠営業所得」「農業所得」があります。

不動産所得

不動産の賃貸による所得をいいます。船舶なども含まれます。売却については、譲渡所得となります。

一時所得

生命保険の満期返戻金などの一時的な所得です。

配当所得

株式の配当金による所得です。

譲渡所得
土地等

土地を譲渡したことによる所得です。保有期間が5年以内のものを「短期譲渡所得⁠⁠、5年を越えるものを「長期譲渡所得」といいます。

株式等

株式を譲渡したことによる所得をいいます。

雑所得

先物取引などによる所得です。

利子所得

預貯金の利子による所得です。原則として申告することはできません。海外の銀行等に預貯金した利子で、源泉徴収されないものは申告が必要です。

退職所得

退職金等による所得です。

山林所得

山林を譲渡したことによる所得又は山林を伐採せずに立木のまま譲渡したことによる所得をいいます(山林を取得してから5年以内に譲渡した場合は、⁠事業所得」⁠雑所得」のいずれか⁠⁠。

確定申告書作成コーナー

国税庁のホームページにある「確定申告書作成コーナー」は、申告書選びなどを行わず、手軽に申告書を作成することができる、大変便利なサイトです。上記のような難しい知識はあまり必要ではありません。平成19年3月15日締切分の「確定申告書作成コーナー」は平成19年1月中旬登場です。そのときは、あわせて『インターネットでかんたん確定申告』を読んでいただければと思います。