世界一ペンギンが好きな民族は、実は日本人。生活雑貨から映画・企業のキャラクターにも頻繁に登場し、それはそれは愛されています。
それほど人気の動物なのに、なぜかペンギンそのものについては、あまり知られてなかったりします。「南極にしかいないんでしょ?」くらいの疑問ならご愛敬。しかし、時には「ペンギンって魚だよね?」と聞かれる始末……。悲しすぎます。
本書では、そんな未知なるペンギンの姿を、豊富なイラストと可愛い写真で楽しく紹介。「凍傷にならないの?」「なぜ白黒ツートンカラー?」「そもそもペンギンって何ですか?」などなど、気になる疑問を完全解説します。
世間は折しもプチ・ペンギン・ブーム。可愛くミステリアスなペンギンの世界を、ちょっと垣間見てみませんか。ここからは、本書の内容を一つご紹介します。
ペンギンとアザラシ、全く違う潜水法
ほ乳類であるアザラシと鳥類であるペンギン。どちらも潜水のエキスパートですが、潜水方法には大きな違いがあります。
アザラシが深い場所へ潜っていくときは、肺の空気を吐き出します。要は、空気をあまり持たない状態で潜水するのです。肺に空気を入れない場合、空気の浮力を受けないために潜降が容易になります。このため、アザラシはそのまま滑るように潜って行きます。そして、浮上の段階になると足鰭を左右に振り推進力を得て、一気に水面に上がって行きます。
一方、ペンギンは、潜降するときは肺に空気を溜め込みます。この場合、肺の空気が浮力を与えるため、潜降が困難になります。よってペンギンは、アザラシとは逆に潜って行くときにフリッパーを激しく使います。しかし、浮上の段階になると、肺に空気がある分、楽になります。ペンギンは、潜降が終わるとフリッパーの動きを止めて、体の浮力だけを用いて水面に上がってきます。
なぜ鳥類とほ乳類では空気の取り込み方が逆なのでしょう?
これについては、あまりよく分かっていません。ただ、アザラシのように肺に空気を入れない場合、減圧症回避に大きな効果を発揮します。鳥類とほ乳類の吸気方法の違いには、減圧症対策が大きなカギを握っているのかもしれません。