VB 6.0から .NETプログラムへ
Visual Basic 6.0からVisual Basic .NETへとバージョンアップする際、VBは .NET対応のプログラミング言語として、新たなスタートを切りました。そして、Visual Basic 2005へと、バージョンアップを重ねています。
ところが、いまだにVB 6.0のユーザー数が非常に多いということ、また .NET Frameworkのクラスライブラリは複雑で、VBユーザーには向いていないのではないか、などということを考慮した結果、VB .NETの入門書は、VB固有の機能を中心に解説するものが多かったように思います。『かんたんプログラミング Visual Basic .NET[基礎編]』もその1つです。
VB固有の機能というのは、たとえばVB 6.0と互換性のある関数や、VB 6.0に近い文法などのことです。
これに対し、『かんたんプログラミング Visual Basic 2005[基礎編]』では、 .NET Framework 2.0のクラスライブラリを使った構文を中心に解説するように、大幅に内容を変更しました。
クラスライブラリを覚えれば、VBだけでなく、C#などほかの言語の習得にも有利なだけでなく、アプリケーションの開発においてもプラスになることでしょう。
クラスライブラリって何?
ところで「クラスライブラリって何?」と思った方も多いでしょう。「聞いたことはあるけど、実際、どういうものなの?」という方もいるかもしれません。
クラスライブラリは、文字通り「クラス(class)の書庫(library)」という意味です。この「クラス」というのは、言うなれば「オブジェクトの設計図」です。
たとえば、自動車を例に考えてみましょう。自動車にはいろいろなモデルがありますが、ボディで覆われた箱形の動く空間で、アクセルやブレーキで走ったり止まったりする、というような、基本的な機能(要素)に限ってみると、共通しています。
これを、プロパティやイベント、メソッドとして考えると、次のような設計図になります。この設計図がクラスです。ここではこれを「自動車の原型」と呼ぶことにします。
自動車の原型のクラス(設計図)
この自動車の原型には基本的な要素しかありませんが、これに別の要素を付け加えていけば、トラックやスポーツカーなど、別の設計図(クラス)を作ることができます。トラックの設計図を作るなら、「自動車の原型の設計図(クラス)+トラック独自の要素」という形です。すでに作ってある自動車の原型の設計図(クラス)を利用することで、新しい設計図を簡略化することができるのです。
トラックのクラス(設計図)
これを、プログラムに置き換えてみると、すでに作成してあるクラスを利用することで、コードを効率的に記述できるということが、イメージできるのではないでしょうか。
Windowsには、たとえば
[最小化]ボタンでフォームが最小化するというような、共通の要素があります。これらはクラスとして用意されているので、VB 2005では簡単に利用することができるというわけです。
このようなクラスは、個別に提供されるのではなく、まとめて、つまり「クラスライブラリ」として提供されます。さらに、 .NET対応のソフトで利用できるクラスライブラリをまとめたものは、.NET Frameworkとして提供されています。
基礎からきちんと学ぼう
.NET対応のソフトはVB以外にもC#などがありますが、.NET Frameworkのクラスライブラリは共通なので、クラスライブラリを学習することは、VB以外の言語の習得に有利です。
それだけでなく、クラスライブラリを学習することで、将来のアプリケーション開発の可能性が大きく広がることでしょう。
『かんたんプログラミング Visual Basic 2005[基礎編]』では、クラスライブラリだけでなく、インスタンスや配列、構造体などについても、詳しくていねいに解説しているので、VB 2005の基礎をしっかり学習することができます。また例題も豊富で、実際にプログラムの動作を確認しながら、学習を進めていくことができるので、理解した事柄を確実に身に付けることができるでしょう。