本書は、大好評をいただいている既刊本『デジタル回路の「しくみ」と「基本」』の続刊です。近年、電子装置に搭載される電子回路は、信号を0と1の状態だけで扱うデジタル化が進みました。しかし、いくら回路がデジタル化されても、電子回路の基本はやはり電圧と電流を制御するアナログ回路に行き着きます。つまり、電子回路を総合的に理解するには、アナログ回路の理解は不可欠なのです。
新感覚学習
電子回路はそれぞれ基本となる回路をつなぎ合わせてできています。ですから、各ブロックのしくみをひとつずつ理解していけば、全体のしくみや動作が簡単に理解できるというわけです。
1970年代なかばに大ブームを巻き起こした「電子ブロック」をご存知ですか。本書はまさにパソコンで疑似体験する「電子ブロック」なのです。
電子回路シミュレータ「TINA」で、目で見て回路を学習する
電子回路を理解するには、実際に部品をつないで動作させてみるのが近道です。
入門者が部品を揃えて実験するのは大変ですが、パソコン上で部品をつないで回路が組み立てられて、その回路を動作させてLEDの点滅やモータの回転などのようすを実際にシミュレーションできる「電子回路シミュレータ」を使うと、電子回路の学習や、回路設計はいとも簡単に行えます(図1)。
図1 本書サンプル回路例。パラメータ・ステッピングを使うと、抵抗値やコンデンサの容量を何段階かに自動で切り替えて、信号の変化を比較観察できるので、本で説明されたしくみがよくわかる(図は増幅回路のバイパスコンデンサの容量を変えたときの周波数特性変化)
電子回路シミュレータには、回路の中を信号がどのように流れているのかを観察できる測定器がいろいろ備わっているので、それらを回路の好きな箇所につないで、部品のひとつひとつがどのような働きをしているのかを目で見て確かめられる最大のメリットがあります。しかも、回路を間違えても、部品を壊す心配はありません(図2)。
オシロスコープ。発振や変調などの難しいしくみも、各所の波形を見比べると回路で何が起こっているのかがイメージできる
弊社の『電子回路の「しくみ」と「基本」』には、世界的に評価の高い電子回路シミュレータTINAの日本語・Book版Ⅱとアナログ電子回路の学習用サンプル回路をCD-ROMに収録してあります。試用期間に制限がないので、自分のペースに合わせて回路のしくみを学べます。