伸び続ける日本のインターネットビジネス

現在の日本のインターネットビジネスの市場規模はどのくらいなのでしょうか。

実は、一言でインターネットビジネスといっても、分類方法が多様で、所轄の省庁も異なるため、インターネットビジネス全体を網羅した統計というものはありません。

しかしながら、業界別に集計されている市場規模予測をつなぎ合わせてみると、だいたいの規模が浮かび上がってきます。

まず、インターネットビジネスとして基本ともいうべき電子商取引については、経済産業省が毎年一度、市場規模を推測してその結果を公表しています。2007年5月に公表された「平成18年度電子商取引に関する市場調査」によると、2006年の日本の電子商取引市場規模は、対消費者向け取引が4兆3910億円、企業間取引(狭義)が148兆円と推測されます。

次に市場規模として大きいのは、サイトの構築です。もっと具体的にいえば、企業がオンラインショッピングに参入できるように、サイトの構築、システムの開発から運用の支援までを行うビジネスです。

矢野経済研究所の調査によると、2006年におけるECサイト構築市場の規模は3兆5,800億円に達しています。また、インターネット広告市場の規模も順調に拡大しています。電通が毎年発表している「日本の広告費」2006年版によると、2006年のインターネット広告市場規模は3,630億円と推計されています。ミック経済研究所では、業界の広告代理店24社に取材するなど主要50社の取扱高から市場規模を3,200億円と推計、また野村総合研究所は、2011年までの国内IT主要5市場分析の中で2006年のインターネット広告市場規模を3,554億円と算出しています。

日本市場の特徴

日本のインターネット業界には、他の先進国には見られない大きな特徴があります。それは、若い人を中心に携帯電話のみでインターネットを利用する人の数が多いことです。

インプレスR&Dが発行した「インターネット白書2007」によると、日本のインターネット利用者数は2007年3月時点で約8,227万人ですが、そのうち携帯電話・PHSのみでインターネットに接続している人が約1,400万人を占めています。つまり「携帯ブロードバンド利用者」が多数存在することになります。

それを示すかのように、日本ではモバイル向けのビジネスが大きな市場としてすでに成立しています。しかしながら、携帯電話向けの販売は、経済産業省の定義では電子商取引に該当しないことから、現時点では統計に含まれていません。

情報通信総合研究所が公表した「携帯電話サービス普及による日本経済への波及効果」によると、2010年におけるモバイルコンテンツとモバイルコマースの市場規模は2006年の4倍の2.4兆円に拡大する、と予測しています。内訳を見ると、2006年には2,378億円だったモバイルコマース市場が、2010年には1兆4,870億円に拡大、モバイルのブロードバンド化に伴い、モバイル向けオンラインショッピングが大きく伸びることが期待されます


参考『インターネットビジネス業界最新事情 ~日本のインターネットビジネスがまるごとわかる~』より。