小飼弾のAlphaGeekに逢ってきた

アルファギークとは?

本書のタイトル、⁠小飼弾のアルファギークに逢ってきた』「アルファギーク」とは何でしょうか? まずは「ギーク」の由来から。

もともと ⁠geek⁠⁠ とは、サーカスやパレードなどの見世物で、ヘビやニワトリを食いちぎったり、昆虫を呑み込んだりするパフォーマーのことをさしていた。⁠中略)中世低地ドイツ語で「愚者」⁠嘲笑すべきもの」⁠騙されやすい者」といった侮蔑的な意味の語であった。

─⁠─Wikipedia

一言で言うと「バカ」という感じですね。それは間違いというわけではありません。しかし「バカ」にも「バカ正直」「空手バカ一代」のように、良い意味もあります。⁠ギーク」は、徐々に悪い意味から良い意味で使われるようになってきた言葉です。

ギーク(geek)とは、アメリカの俗語で卓越した知識があるということを指す。特に、ある種の趣味には長けているが、人付き合いが得意でない人に対して用いられる。そもそも良い意味では使われなかったが、インターネットが注目されるようになると共に、コンピュータやインターネット技術に時間を費やし、深い知識を有する者もギークと呼ばれるようになった。

─⁠─Wikipedia

それでは、なぜ「ただのバカ」だった「ギーク」「尊敬すべきバカ」に変わったのか。それはギークたちが世界を少しずつ、しかし確実に良い方向に変えてきたからです。世間の無理解もなんのその、ひたすら好きを貫いて正しいと信じる道を往く。それが、ギークたちです。

本書に登場するギークたちは、その上にさらに「アルファ」がついています。アルファというのは、動物行動学ではリーダーとなる個体を指します。⁠アルファギーク」のアルファはその「アルファ」です。そんな国内外のアルファギークたちを2年間インタビューし続けてできあがったのが、本書です。

本書の元となった連載が掲載されているのは、⁠WEB+DB PRESS』という、ウェブ技術のギークたちによる、ウェブ技術のギークのための雑誌です。しかしそれをまとめた本書は、ウェブ技術のギークたちのための本にとどまらない1冊だと自負しております。確かに本書に登場する人物たちは、IT業界のギークばかりです。だからこそ、彼らの生の声をそれ以外の方にお届けしたいのです。

彼らが何を考えてギークとなったのか。
彼らがどういう過程を経てアルファとなったのか。
そして彼らが、どんな世界を目指しているのか。

それを知ることは、今後の世界がどこに向かうのかを占うのに必ず役に立ちます。なぜなら、彼らは「世界はこうなる」に満足せず「世界をこうする」人々だからです。

The best way to predict the future is to invent it. ⁠未来を予測する最善の方法は、それを発明することである)

そう言ったのは、アルファギークの1人であるAlan Kayです。パソコンという概念そのものを発明した人でもあります。そのパソコンがどれだけ世界を変えたかは、読者のみなさんもご存知かと思います。

弾言しましょう。アルファギークを知らずして、未来を知ることならず、と。

世界を変えたいあなた、ギークの世界へようこそ。ギークとなる最短の道は、ギークを知ることです。本書はそんなあなたのためにあります。

本書「はじめに」より