本書は、「ソフトウェア開発を成功に導くための情報誌」として、2002年に創刊された『Software People』の特別版です。Vol.1からVol.8までに掲載された記事を中心に、書き下ろし特集を追加して再構成したものです。
特集は、昨今の開発プロジェクトでよく見られる、プロジェクトマネジメントの形式的な導入に警鐘を鳴らす書き下ろし特集「名ばかりプロジェクトマネジメント」のほか、「Agileなソフトウェア開発」「SCRUMによるプロジェクトマネジメント」というアジャイル開発を代表する特集2つと、従来のウォーターフォール型に代わって今ではすっかり定番となった反復型開発に関する「反復型開発のプロジェクト管理」です。
一般記事としては、ソフトウェア開発の芸術的側面をテーマにした「音楽とソフトウェア開発」、サッカーチームとソフトウェア開発チームの類似性に着目した「役割分担が“勝てるチーム”をつくる」、アジャイル開発の理論的背景を明らかにする「知識創造とソフトウェア開発」、まだアーキテクトという言葉が珍しかった2002年当時に掲載された「オブジェクト指向開発とアーキテクト」など、全部で18の記事を収録しています。
ソフトウェア開発は多くの人々が関わるプロジェクトであり、その成功には、技術だけでなく、プロジェクトに携わるすべての人々の協調が欠かせないーー『Software People』というタイトルは、このような想いから名づけられました。
もちろん、当初このタイトルには異論もあり、「ソフトウェア開発とはプログラミングであり、機械を相手にする作業だから、ピープルなどというタイトルはふさわしくない」「ソフトウェア開発を成功させるには、技術力さえあれば十分である」といった声も、一部ではありました。しかし、2002年に創刊されたこの雑誌は、発売と同時に圧倒的多数の読者から支持をいただくことができたのです。
それから6年を経過した今、「BestSelection」として新たな一冊をお届けできることは、編集部にとって大きな喜びです。『Software People』から生まれた新書シリーズ「技評SE新書」とあわせて、読者の皆様にお役立ていただければと思います。