「成年後見制度」財産を守る

成年後見制度とは?

成年後見制度とは、認知症や知的障害などで判断能力の不十分な人を、悪徳業者や見ず知らずの人間から守るための制度です。

自身は都会でサラリーマン生活を送り、親は田舎で一人暮らし、というケースもめずらしくないと思います。もし、そのようなケースで、親が認知症などを発症して、不動産や預貯金などの財産を自身で管理することが難しい状態になったとしても、成年後見制度を利用することで、悪徳商法などの被害から保護、支援されるのです。

不利益な契約から本人を守る

たとえば成年後見人は、認知症にかかった親の代理となって、さまざまな法的な契約を締結することができます。もし親が不利益な契約をしようとしても、成年後見人の同意が必要となります。また、もし不利益な契約しても、成年後見人はあとから取り消すことができます。

この制度の申し立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長などとなります。そのため、身寄りがない場合でも、市町村長などが、選任される事例もあります。

申し立ては家庭裁判所

申し立ては、本人のいる住所の家庭裁判所で行います。本人とは、たとえば認知症の親などです。後見人の住所の家庭裁判所ではありません。そして、審理の上で、選任の許可を得ます。審理の際は、

  • 成年被後見人の心身の状態、生活、財産、職業、経歴
  • 利害関係の有無、本人の意見
  • その他一切の事情

が考慮されます。

破産者、本人に対して訴訟を起こした人物、いちじるしく不正な行為のある者、その他適しないと判断された人(金銭にルーズな人など)は不許可となります。

およそ、4か月程度で、審判が確定し、後見が開始されます。

本人が申し立てることも可

本人が現在元気でも、老後に備え、しっかりしているうちに、自身の判断で信頼できる人を選定し、後見人として指定することも可能です。その場合、任意後見人と呼ばれます。条件は上と同じです。

遠く離れた親の住む家庭裁判所に申し立てを行うのは大変ですが、⁠はじめての成年後見~ボケた親の財産を守る』では、資料の取り寄せから認定までのプロセスを実体験を交えながら紹介しています。介護の必要な親族から財産を守るこの制度を、ぜひ、利用してみてはいかがでしょうか。