今年、
下村博士にノーベル賞をもたらしたオワンクラゲですが、このクラゲはなぜこんな素晴らしい発光物質を生み出しているのでしょう? 実は……さっぱり分かっていません。
海洋生物が光を出すとき、その意義は大きく二つあります。一つは「敵の撹乱」、もう一つは「エサの誘引」です。どちらのケースも基本的に光のない“深海”が主な舞台となります。光がない世界で発光するととても目立ち、それが大きな武器となるのです。しかし、不思議なことにオワンクラゲは深海にはいません。比較的浅い海に生息しているのです。光が溢れるところでボワ~ンと発光しても……ほとんど目立ちません。とある魚のように発光バクテリアを共生させて光を発するならともかく、オワンクラゲはわざわざ自分の栄養分を使ってまで、意味のなさそうな光を発しているのです。
私たち人間の生活に偉大なる進歩をもたらしたGFPですが、クラゲにとっては一体何の役に立っているのだか……。クラゲは、全くもって謎だらけの生物です。
本書は、そんな不思議なクラゲの世界を、専門家と愛好家が面白おかしく科学的に解説します。「目はあるの?」「うんちするの?」「味がわかるの?」といったレベルから「エチゼンクラゲ日本襲来の原因」「不老不死クラゲの謎」「見てると癒されるのは本当か」「地球上での存在意義」といったレベルまで、全ての不思議を完全網羅。この1冊で、クラゲのほとんどが分かります。色とりどりの美しい写真もふんだんに掲載しているので、眺めるだけでも楽しめます。
今年の冬は、コタツの中からクラゲの不思議ワールドをちょっと覗いてみませんか。