へんな金属⁠すごい金属

「金属」と聞くとまず思い浮かぶのが硬くて丈夫な「鉄⁠⁠。でもそれだけじゃありません。へんな金属、すごい金属がたくさんあるのです。

例えば液晶テレビに使われているのは透明な金属。この金属は酸化インジウムとスズの混合物で、気体にして、ガラスの表面に蒸着しています。

風船のように膨らむ「超塑性合金」というのもあります。いろんな形に成型できるスグレモノです。また、自分の形を覚えておく「形状記憶合金」やある設定温度になると元の形に戻る「超弾性合金⁠⁠、チーズのようにやわらかく切れる「カリウム」などもあります。⁠硬くない金属」はいろいろなところで活躍しているのです。

気体を吸収する金属もあります。水素ガスを吸収するので、水素燃料電池への応用が考えられています。リチウム電池に用いられる金属「リチウム」は水と反応して発火します。

一方、毒になる恐ろしい金属もあります。有名なのは水銀。この水銀は液体ですが、融点はなんとマイナス38.9度。では加熱するとどうなるかというと、酸化して黒い固体になり、さらに熱するとまた銀の液体に戻る不思議な性質を持っています。水俣病のメチル水銀やイタイイタイ病のカドミウムも金属です。

花火の美しい光にも金属が活躍しています。例えば黄色にはナトリウム、青はガリウムといった具合です。LEDや有機ELなどの最先端の光にも金属が使われています。

ガラスの色を出すのにも金属を使います。紫にはマンガンと銅、赤にはセレン+カドミウムなどです。

体の中にも金属があります。骨の主成分はカルシウム。カルシウムやマグネシウムは金属です。血が赤いのは鉄イオンのためですし、神経伝達にはナトリウムやカリウムが使われています。

毒になる金属があるなら、薬になる金属もあります。サルバルサンは梅毒治療に長く使われていました。またリチウムはうつ病に効果があるとされています。

このような多様な金属ですが、実は91種類の元素のうち70種類を占めているんです。しかも、金属を混ぜたものを合金と呼びますが、それらを合わせると限りないほどの個性的な金属にあふれていることになります。

ぜひ、身近で奥の深い金属の世界をもっと楽しんでください。