1984年に誕生したMac OS(Mac System Software 1.0)はC言語で開発されましたが、Mac OS上で動作するApple純正開発環境「MPW(Macintosh Programmer's Workshop)」は、高価・低速・難解と三拍子揃っていたため、開発者にそっぽを向かれてしまったのです。代わりにSymantec社の「THINK C」が絶大な人気を博し、その後アーキテクチャがPower PCベースになると、今度はMetrowerks社の「CodeWarrior」がシェアを獲得。利用者のいないMPWはいつしか“無かったこと”にされてしまいました。
風向きが変わったのは、“帰ってきた男”スティーブ・ジョブスが、復帰の手土産に「NEXTSTEP」とその開発言語「Objective-C」を持ち込んでからです。当時最先端のオブジェクト指向理論を体現したNEXTSTEPは「Mac OS X」となり、そして、開発環境である「Project Builder(後のXcode)」と「Interface Builder」のおかげで、Appleはようやく他社からシェアを奪還できたのです。