「農」「食」温暖化の影響が避けられない

日本の農業の現場で、さまざまな温暖化の影響がすでに顕在化していることが全国調査で明らかになりました。

日本の農業は稲作抜きでは語れません。IPCC報告では、将来的には米が減収となる可能性も示されています。しかし、現在の日本では、生産量よりも米の品質に明確な影響が現れています。

容易に植え替えのできない果樹は、他の作物と比べて温暖化の影響が著しい上に、他の作物より10年以上早くからその対策をとる必要があります。

地球温暖化の問題は、未来のことでも、海外の出来事でも、シミュレーションの結果でもない、日本で今起きていることなのです。

これは、⁠エコラボFILE」シリーズの第1弾、『温暖化が進むと「農業」⁠食料」はどうなるのか?』より抜粋した文章です。

気温上昇は世界の食料、日本の農業にとってプラスに働くのでしょうか、それともマイナスなのでしょうか?

日本の食料自給率は、カロリーベースでわずか40%にとどまっています。食料自給率は長期的に低下傾向をたどっており、1965年度の73%から1998年度には40%まで下がりました。その後は、おおむね横ばいで推移していますが、主要先進国の中で日本の食料自給率は最低の水準にあります。海外に多くの食料を依存している日本にとって、温暖化が世界の食料生産にダメージを与えることは価格高騰など深刻な影響をもたらします。

国内の生産現場に目を転じると、温暖化の影響は現在進行形で明らかになっています。いま農業生産の現場で起きていること、これからの影響予測をつまびらかにすることが本書の目的の1つです。そして、米や畜産物、ミカン、リンゴ、ナシなどの果樹、キャベツ、トマト、麦類などの畑作物という主要な農産物を取り上げ、温暖化によるマイナスを克服するための取り組みについて解説します。

農業、食品関連のビジネスに携わっている方、農業、食料について学んでいる方、日本の食料事情に不安を覚えている方にぜひお読みいただきたい、⁠農」⁠食」と地球温暖化を考えるための決定版です。