危険物というと皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。ガソリンや灯油といった液体燃料を思い浮かべると思いますが、それだけではありません。塩素酸塩類などの酸化性固体やマグネシウムなどの可燃性固体、有機過酸化物などの自己反応性物質、硝酸などの酸化性液体などさまざまな危険物があります。危険物取扱者試験はこのような多岐にわたる危険物に対応した国家試験です(表1)。
危険物を一定数量貯蔵し、取り扱うガソリンスタンドや化学工場、石油タンクなど貯蔵施設は、危険物取扱者を置かなければなりません。つまりこのような職場で働いている方には、必須の資格です。
危険物取扱者には、甲種、乙種、丙種と分かれています。甲種は全種類の危険物について、乙種は指定の類の危険物の取り扱いと定期点検、「保安の監督」ができます。丙種は、ガソリン、灯油、軽油、重油などに限り、取り扱いと定期点検ができます。
表1 免状の種類と取扱いのできる危険物
資格の種類 | 危険物の取り扱い範囲 |
甲種 | | 全種類の危険物 |
乙種 | 第1類 | 塩素酸塩類、無機過酸化物、硝酸塩類、よう素酸塩類、過マンガン酸塩類、重クロム酸塩類などの酸化性固体 |
第2類 | 硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム、引火性固体などの可燃性固体 |
第3類 | カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウムなどの自然発火性物質及び禁水性物質 |
第4類 | ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類などの引火性液体 |
第5類 | 有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物などの自己反応性物質 |
第6類 | 過塩素酸、過酸化水素、硝酸、ハロゲン間化合物などの酸化性液体 |
丙種 | | ガソリン、灯油、軽油、重油など |
危険物取扱者試験の受験案内の詳細については、(財)消防試験研究センターのホームページをご覧ください。
乙種第4類危険物取扱者試験は、受験人口が多いせいか頻繁に試験を行っています。東京では週1回のペースで試験が実施されています。ほかの国家試験は年1回しか試験がないというものが多いので、かなり受験しやすい資格といえます。実務ではたぶん使わないが国家資格を取りたいという方も、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。