ITIL V3実践の法則

近年、ITは目覚ましい速度で進歩しており、企業ビジネスもITなしでは成立しないといってよい状況です。企業のビジネス部門がよりよい結果を出すうえで、高い能力を持った社内ITサービスは不可欠です。国内はもちろん、国際社会を相手にビジネスを展開させる企業ではなおさらです。このような背景にあって、⁠サービスマネジメント」のグローバルスタンダードであるITILの実践が注目されています。

2007年にリリースされたITIL V3では、それまでのITIL V2と比較してサービスマネジメントの考えが強調され、解説も増えています。また、ITIL V2はもともと7冊の書籍(コアブック)で構成されていましたが、ITIL V3は5冊に集約されました。これにともない、ITIL V2のメインテーマだった「1つの機能と10のプロセス」は5冊のコアブックで分散して解説されるようになりました。

ITILの神髄は「あらゆるリソースを価値に変換し、それをサービスとして提供する」という考え方にあります。ここでいうリソースとは、PC本体、そこで動くビジネスアプリケーション、社内LAN上のいろいろなサービス、それらを調達するITサービス部門の要員、コストなど、ITサービスに関わるすべてのものを含みます。サービスマネジメントによってこれらの能力を最大限に発揮させ、必要なときに必ず使えるという「保証」を付加することによって、ビジネス部門とって「価値」のあるサービスになります。そのようなサービスを利用することにより、ビジネス部門を成功へと導き、ひいては会社の増収・成長に貢献することになります。

近年はITILファウンデーションの受験だけでなく、自社のシステムに合わせてITILのノウハウをくみ取り、自社に適合した形で実践することによってビジネスを成功させている企業も増えています。ITILを実践するうえで必要な知識・考え方を勉強する参考書として、あるいはITIL V2/V3の試験勉強のサブテキストとして、⁠ITIL V3実践の鉄則」を活用していただければ幸いです。