数学が苦手だった人も、忘れてしまった人も、考え方のイメージをつかむことからやさしく解説した数学の入門書
数学は好きですか? 数式なんて見たくないという人が多いかもしれません。
実は、工業数学は、日常生活との関わりあいで数学を使う場面が多く、そこには数学を学ぶ絶好の教材が広がっているのです。
たとえば、情報化社会に必要な「符号化」は、数学の理論と情報技術が結びついた興味深い分野の一つです。身近な製品で符号化が使われているものといえば、ファックスです。通信の高速化のために、「ハフマン符号」が採用されています。
お手持ちのファックス機器に書かれている仕様をみてください。圧縮方式の欄に「MH」と表示されていないでしょうか。このMHは、Modified Huffmanを表し、ハフマン符号を応用した方式であることを示しています。ハフマン符号は、音楽データの圧縮方式のMP3などにも使われています。
信号処理に使われる数学としては、微分・積分・複素数があります。微分積分を使えば、時間とともに変化するデータの分析が可能になります。慣れないと難しそうにおもえるかもしれませんが、実はその記号が難しそうにみえるだけで、やり方さえおぼえてしまえば、誰でも使いこなすことができます。
自然界を記述する数学といえば、微分方程式です。微分方程式を学べば、いろいろな現象を数学的に解釈して理解できるのです。たとえばニュートンの理論は、たった一つの微分方程式であらわされます。物体の昔の状態から未来の状態まで、微分方程式を解くことでわかるのです。このような数学にロマンを感じる人も多いのです。
いろいろな工学的現象を解析するための数学的手段の一つが、ラプラス変換です。電子回路や衝撃試験などの場面で使われている微分方程式を、簡単に解いてしまう実用的なものです。
ものづくりが得意だという人でも、数学が好きとは限りません。そこで、本書の登場です。数学を忘れてしまった人や数式が苦手という人のために、導入部分にはクイズや会話のやり取りを入れ、気楽に読めるようにしました。
また、つまずきやすいところには、理解を助けるためのコメントをいれてあります。最後まで読み進んでいけば、きっと驚くほど数学力が変わっていくはずです。これまで数学を敬遠していた人は、ぜひ本書でやり直してみてください。