よりシンプルにより使いやすく
アニメーション作成にとどまらず、Webはもちろんのこと、携帯、スマートフォンなどのモバイルコンテンツへの柔軟性のあるプラットフォームを提供するツールとして、より進化し続けるFlash。
すでにお腹いっぱい感の否めないソフトウェアとなってしまいましたが、それだけにツール、操作のスマート化へ、ユーザからの要望も多いようです。
CS5では、さらに操作、使用感の整理ともいえる以下のような機能の改善、強化が行われています。
- テキストレイアウトフレームワークの強化
- InDesign、Illustratorのようなテキストフレームの操作が可能に
- コードスニペットパネル
- ActionScript3.0のコードがわからなくても作成済みサンプルコードを使ってスクリプトを扱える
- ActionScriptエディターの強化
- コードを書く上でのコードヒントや自動補完機能などが改良された
- パターン描画
- CS4で搭載されたパターン描画にブラシセットのバリエーションが追加され、エフェクトなど、より描画の幅が広がる
- FlashVideo編集機能
- ステージ上のビデオ編集機能のキューポイントプロパティインスペクターの追加で、キューポイントが扱いやすくなった(キューポイントはビデオ以外のイベントが動くようにするマーカーのようなもの)
目立った派手さはないけれど、ユーザにとってストレスレスな環境を提供するための機能強化を行っているようです。
アニメーションの強化は?
ひとつ前のCS4では、オブジェクトベースのアニメーション作成を容易にする機能改良が行われています。
以前のキーフレームを追加しながらモーショントゥイーンを設定していたクラシックトゥイーン(CS3以前のモーショントゥイーンの名称に)の頃に比べて、豊富なモーションプリセットからオブジェクトにモーションを設定できるなど、アニメーション作成が格段に楽になりました。
さらに、3Dモデリングソフトではおなじみのボーンツールが搭載されただけでも、革新的な感じがしましたが、CS5ではさらにアニメーションがスムーズになるような改善が行われています。
インバースキネマティックエフェクト(ボーンツールに設定するモーション属性)の強化により、少しぎこちなかったボーンアニメーションが、さらにリアルなアニメーションとして作成できるようになっています。
Flashで電子書籍は作れる?
電子書籍は、現時点での汎用フォーマットとしてEPUB形式があるようです。InDesign CS4でEPUB形式での書き出しが追加されましたが、日本語フォントに対応していないなど、実用にはもうちょっと、という感じでした。
InDeisngn CS5では、フォントの問題も改善され、ネイティブデータに近い形で書き出せるようになりました。ただ、一部レイアウトが崩れてしまうなど、課題はまだまだ山積みのようです。
また、Web配信という意味ではDreamweaverがありますが、直接EPUB形式に書き出すことができません。ただ、EPUBがXHTML+CSSベースのファイル形式であることから、レイアウトの手直しなどはDreamweaverが便利のようです。
本題のFlashですが、直接EPUB形式に書き出すことも編集することも現時点ではできません…。
ただ、テキストフレームが扱えるようになったことで、長文のテキストが扱いにくかったFlashにとっては、印刷ベース(本、パンフレットなど)のコンテンツへの需要も見込んでの機能強化のようにもとれます。
カスタマイズというよりは一から動的な電子書籍を作る、という方向での作成は可能といえるかもしれません。
電子書籍については、紙のデータをWebやモバイルコンテンツ用に変換、という作業が現状では一般的です。今後の流れ次第では「動的リッチコンテンツ作りに最適」というソフトなだけに、電子書籍コンテンツ作成シェアが逆転する可能性も無きにしもあらず、ではないでしょうか。
『速習Webデザイン Flash CS5』は、2010年内発売予定です。