「情報リテラシー」向上ノススメ

中小企業でも、すべてのコンピュータや情報端末がネットワークにつながる今日、ネットワークの構築、運営、管理担当者の役割はますます重要になっています。

しかし、インターネットを含めたネットワークを効率よく運用していくためには、ある程度、情報に対する「リテラシー」が求められます。ここで言うリテラシーとは、個人として、コンピュータ、情報端末、ソフトウェアなどの使い方に精通し、情報を効率的に収集して、ビジネスに役立てることができる能力はもちろんですが、他者に対して、機器の使い方や収集した情報の活用方法、セキュリティの必要性などを適切に伝達、教育していく能力、言い換えると「他者のリテラシーを高める能力」も含んでいます。

現実には、ネットワーク利用者の能力を向上させていくには時間がかかりますから、十分な能力を持たない利用者のもと、ネットワークを最大限に効率的に活用していくことが重要になります。手早い手段は、外部の専門家を活用することですが、多くの中小企業は予算がかけられず、他の仕事を兼務するネットワーク管理者が、⁠本当にこのやり方でいいのか」と疑問に思いつつ、管理しているのが現状です。

本書は、新たに中小企業でネットワーク管理を任されることになった方に向けた、入門書として執筆しました。ネットワークインフラの構築手順を詳しく説明するような従来の解説本と比べて、ネットワーク構築の前に行うべきこと、ネットワーク利用者への教育方法、運用後のトラブルを未然に防ぐ方法、予算に合わせて外部の専門業者を活用していく方法など、より実践的な部分に力を入れたつもりです。とくに、本来の業務を抱える中小企業のネットワーク担当者が、⁠日曜大工でこなせるのか、本職に頼んだほうがいいのか」を判断する一助になれば、幸いです。⁠本書「はじめに」より)