熱を制するものは環境を制す

白熱電球がLED電球に変わり、熱として無駄に消費されるエネルギーが少なくなり消費電力が格段に減りました。家も素材に蓄熱材を用いることで、熱源設備の容量を小さくすることができます。電車に回生ブレーキが使用されるようになり、減速するときに熱として消費されていたエネルギーを電気に変えることができるようになりました。このように、省エネで環境に配慮した熱制御が非常に重要になってきます。本書は、その熱制御について、下記の構成で解説した書籍です。熱関連に関わる方にはぜひ読んでいただきたい1冊です。

  • <第1章>熱とは何か、熱とはどんなことに利用できるのかという熱の基本的な事項を解説します。
  • <第2章>固体の中を熱が伝わる「伝導⁠⁠、流体の流れで熱が伝わる「対流⁠⁠、物体の温度により放出される電磁波で熱が伝わる「輻射⁠⁠、固体の相変化で熱が伝わる「融解・凝固⁠⁠、流体の相変化で熱が伝わる「沸騰・凝縮⁠⁠。以上4つの熱の伝わり方を解説します。
  • <第3章>「ファン、ブロア」による空冷方法とライダースーツなどへの適用例、電気を使用した電子冷却の「ペルチェ素子」による冷却方法とパソコン内のCPU などへの適用例など、実際に熱の流れを制御する方法と私たちの生活の中で身近に用いられている製品への適用例を解説します。
  • <第4章>実際に温度を求める方法を解説します。有限要素法や有限差分法に代表される数値解析手法と、輻射熱交換係数を数値解法的に求める方法を解説します。また、それらの代表的な解析ソフトウェアを紹介します。
  • <第5章>装置の熱設計をどのように行っていくかを解説します。具体的な例として「人工衛星の熱設計」を取り上げ、人工衛星が置かれている熱環境の分析、熱制御方法の洗い出し、熱解析モデルの作成と温度の求め方、温度解析結果を確認するための試験の方法を解説していきます。
  • <第6章>地球温暖化防止のための熱技術と、太陽光や地熱発電のほか、将来に向けて研究・開発が進められている新しい熱技術を紹介します。