歴史あるエディタの機能を最大限に引き出す

Emacsというエディタが産声を上げたのは1975年のことです。それから35年以上が経ち、数々のエディタが登場したにもかかわらず、一流のプログラマの多くがEmacsを愛用しています。

なぜ最高のエンジニアに愛され続けるのか

では、なぜこれほどまでにEmacsは愛され続けるのでしょうか。その理由は、主に3つ挙げられます。

優れた操作性

プログラムを記述する際には、文字の入力はもちろん、カーソルの移動、文字の検索、ウィンドウの分割などさまざまな操作を行う必要があります。Emacsは、すべての操作をキーボードから行うことができます。最初は戸惑うかもしれませんが、習得すれば自分の思考を直感的にコードにできるようになります。

設定の柔軟性

人により、頻繁に利用する機能や使いやすい設定は異なります。Emacsはキー配置はもちろん、ほぼすべての機能をカスタマイズ可能です。頻繁に使う機能を自分の好きなようにショートカットキーに割り当てることにより、ストレスなくコードが書けるようになります。

本体の拡張性

Emacsの特徴は設定の柔軟性だけではありません。プログラムを書くことができれば、自分が欲しい機能を自分で追加できるのです。長い歴史の中で、多くの先人により数々の「拡張機能」が作られました。そして、現在もさらに便利な拡張機能が作られ続けています。

Emacsを使っていて欲しいと感じる機能は、多くの場合拡張機能としてすでに用意されています。もし用意されていない場合でも、自分で作ることができるのです。

本書の構成

本書は、Emacsをはじめて利用する方と、利用はしていても詳しい使い方はよくわからない、という方を対象にしています。はじめての方にもわかるよう、初学者の方がつまずきがちな個所は特に丁寧に解説しています。Emacsの特徴である設定についても、自分の思い通りに設定できるように詳しく解説しています。

また、開発の現場でプログラマの方が実際に使っている拡張機能を厳選して紹介しています。プログラミング以外の、ふだん文章を書く際に便利な使い方も解説していますので、プログラマ以外の方にもお勧めです。