ちまたではいろいろな声が
消費増税の足音が迫っています。増税に踏み切ろうとする大きな理由の一つが日本の財政状態です。いわく「ギリシャは明日の日本の姿」「日本の財政状態は先進国で最悪」「このままでは日本が破綻してしまう」……などなど。
経済評論家・廣宮孝信氏の新刊『「国の借金」アッと驚く新常識』は、ちまたに流れる"噂"の真偽のほどを、平易な言葉と客観的な数字によって徹底的に検証する本です。
ここでは、「日本の財政状態は先進国で最悪」というまことしやかな声を廣宮氏ならどう斬るのか、本書一節のダイジェストをご紹介することにします。
「なんとなく」で流されたくない方へ
まず、「日本の財政は先進国で最悪」は「科学的、論理的に完全に間違い」と指摘します。なぜなら、OECDに加盟しているれっきとした先進国であるアイスランド政府が2008年に財政破綻しているからです。
アイスランド政府の負債(いわゆる「国の借金」というやつです)は、破綻前後1年でGDPの0.6年分増えました。GDPの0.6年分……これは日本でいえば、1年で国の借金が一気に300兆円も増えたというとんでもないインパクトのある数字です(ちなみに消費税は1%アップで2~2.5兆円の税収増になるといわれています)。
これほどの借金を一度に増やしてしまったら何が起こるでしょうか? カンのいい方なら、お金の価値が下がりに下がってパン一つ買うのにもお札を積まなければいけないインフレ、ハイパーインフレを思い浮かべるかもしれません。日本でも、いずれ借金で首が回らなくなって猛烈なインフレがやってくるから円資産を避難させたほうがいい、という主張をたまに見かけますね。
先に結果をいってしまうと、アイスランドではハイパーインフレなどにはまったくなりませんでした。2008年こそインフレ率は21%まで上昇しましたが、その後は10%強、5%弱と破綻前の水準に戻りつつあります。
アイスランドの破綻については、当時ニュースになったのでご記憶の方もいらっしゃるでしょう。ただ、「破綻後にアイスランドはどうなったのか?」まで把握していらっしゃる方は決して多くないと思います。
世上正しいと考えられていることも、時系列に沿って数字を使って丹念に検証していくと、別の顔を見せるというのはよくあることです。
消費増税賛成・反対の声が盛り上がっているいま、『「国の借金」アッと驚く新常識』は"日本の本当"をツッコンで考えるための旬な材料になります。ぜひご一読ください。