スマホでよく聞くLTEってなに

第3.9世代の通信規格LTE

LTE(Long Term Evolution)は第3.9世代の代表的な通信規格です。LTEは、W-CDMAの延長上にある通信規格ですが、世界中の有力な携帯電話事業者の多くが採用しています。日本でも、W-CDMAを採用するNTTドコモとソフトバンクモバイルだけでなく、cdma2000を採用するKDDIも第3.9世代としてLTEを採用します。このため、第3.9世代の標準通信規格と考えることができます。

LTEは、第3世代や第3.5世代と同じ電波周波数を使用します。このため、第3世代(第3.5世代)に割り当てられている周波数帯(1.92GHz~2.2GHz)をそのまま使って、携帯電話サービスを提供できます。また、伝送速度が、下り100Mbps 以上、上り50Mbps 以上と、FTTH(光ファイバー)並みの高速になります。

さらに、LTEでは、第4世代で採用予定の、無線アクセス技術のOFDMA/SC-FDMAやアンテナ技術のMIMO(無線LANなどで使われている技術)などを使用します。これらの技術により、周波数の効率的な使用、高速なデータ通信などを実現します。加えて、これらはモバイルWiMAXでも採用されている技術です。このため、施設や資源の共通化が可能となります。

なお、モバイルWiMAXは第3.9世代の移動通信の規格ですが、携帯電話の通信規格として限定することはできません(モバイルWiMAXの詳細はしくみ図解 通信技術が一番わかる谷口功著をご覧ください⁠⁠。

第4世代の通信規格IMT-AdvancedとLTE-Advanced、WiMAX2

第4世代の標準通信規格はIMT-Advancedと呼ばれています(第3世代IMT-2000の進化形という意味⁠⁠。ただし、IMT-2000と同じくIMTAdvancedも単一の規格ではありません。第4世代はITUが標準通信規格をまとめていますが、ITUではLTEを発展させたLTE-AdvancedとWiMAX を発展させたWiMAX2 の2つの通信規格をIMT-Advancedとして承認しました。どちらの規格も標準化が進められています。

第4世代は、最大1Gbps程度の大容量超高速データ通信の実現を目指しています。このため、第3世代(および第3.5、3.9世代)より高い周波数を使用することになっています。第3世代(および第3.5、3.9世代)は1.92GHz~2.2GHzの周波数帯を使用しています。これに対して、日本では、第4世代で使用する周波数帯として3.4GHz~3.6GHzを予定しています。ただし、高い周波数を使用することによる課題もあります。まず、電波の直進性が強くなり障害物に阻害されるため、屋内に電波が届きにくくなる可能性があります。また、降雨に電波が遮られ、通信が途絶える問題もあります。

また、第4世代は、IPv6に対応したIP通信になります。それに加えて、無線LAN、WiMAXやモバイルWiMAX、Bluetoothなどと他のさまざまな無線通信と連携できるようになります。そして、これらが実現されることにより、固定通信ネットワーク、移動通信ネットワークに関わらず、他のさまざまな通信ネットワークをシームレスに利用できるようになることが期待されています。

通信規格最大転送速度周波数帯
LTE上り50Mbps以上
2GHz帯
1.92GHz~2.2GHz
下り100Mbps以上
IMT-Advanced
1Gbps程度
3.5GHz帯
3.4GHz~3.6GHz
(これ以外にも使用予定)
LTE-Advanced
WiMAX2

この記事は『しくみ図解 通信技術が一番わかる』谷口功著(技術評論社刊)より抜粋し、一部内容を変更して作成しております。興味のある方は本書をご覧ください。