シラバスver.2.0で試験傾向が大きく変わるのか?
情報処理技術者試験におけるシラバスとは、「試験範囲」をさらに詳細化し、試験で問われる知識・技能の細目をまとめたものです。平成24年5月に、それまでのシラバスを改訂した「シラバスVer.2.0」が公開されました。
これまでは「Ver1.1」だったので、今後出題傾向が大きく変わるのか? と心配になりますが、一度に大きく変わることはないと思われます。その一番の理由は、シラバスのもとになっている試験範囲そのものが、それほど変わっていないからです。
試験問題が先、シラバスは後
シラバスVer1.1時代もそうなのですが、試験に出る事柄が、すべてシラバスに書いてあるわけではありません。シラバスの更新頻度よりも、試験の回数のほうが多いので、時代の流れに対応した新技術などに関する用語はまず先に本試験で出題され、後からシラバスに反映されるというパターンが多くなっています。シラバスVer2.0で新規に追加された用語も、よく見るとすでに出題済みの用語が少なくありません。シラバス改訂前から、少しずつ新しい傾向が取り入れられていたということです。
過去問題で対策する方法はどうなるの?
これまで王道だった「過去問で対策する」という方法は、今後も有効なのでしょうか。
情報処理技術者試験は国家試験として実施され、合格証には経産大臣のサインが入っています。いい加減な出題は許されません。「あるときは80%の受験者が受かったけど、次のときは20%しか受からなかった」などのように、出題傾向を大きく変えすぎて、1回ごとの難易度があまりに変化しすぎると、試験としての信頼性が落ちてしまいます。
難易度の変動の幅が大きくならないようにするには、すでに正解率がわかっている過去問を再度出題して調整するのが一番いい方法です。つまりこれからも、過去問題中心に出題される傾向は大きく変わらないと予想できます。シラバスver2.0発表後の平成24年秋期の基本情報技術者試験でも、これまでと同様に過去問がたくさん出題されています。
見たことのない問題は絶対出る
とはいえ、IT技術はどんどん新しくなります。時代の変化を試験に反映させなければなりません。「100点続出で試験の意味がない」「試験問題が固定化されてしまっている」とか「問題が古すぎる」とかいうことにならないよう、常に新しい用語や、新しい切り口の問題は出題されます。つまり、「見たことのない問題が出る」のは当たり前なのです。
ちなみに、平成24年10月に実施された基本情報技術者では、「Eclipse」を問う問題が出題されましたが、この語はシラバスVer2.0には掲載されていません。
今後の試験対策は?
今後も過去問題からの出題は続きますし、出題傾向は大きく変わるわけではないので、最新の過去問題を数回分解いて、間違えたところを補強するのは、試験対策としては絶対的な大前提です。その上で、さらに得点を上積みするために、新傾向問題への対策を考えてみましょう。
新用語対策としては、雑誌やWebのニュースをチェックし、気になる用語は随時メモしておくという地道なやり方で臨むことが有効でしょう。その際用語の説明を丸写しするのではなく、自分なりの言葉で言い換えてみたり、身近な例を考えてみたりするとより理解が深まるでしょう。
それから、これまでも問われていたことが、新しい切り口で出題されることもあります。こういうパターンに対しては、用語や公式の丸暗記ではなく、その事柄で一番重要な本質を理解するようにこころがけることが、そのまま試験対策になります。
そして、実際の試験でも「見たことのない問題は必ず出る」と考えておき、出くわしても動揺しないようにしましょう。よくよく見ると、簡単なことをわざと難しい言い回しで表現したりしていることもあります。
情報処理技術者試験は、60%取れば合格です。試験によく出る重要ポイントを確実に自分のものにし、過去問で対策するという王道が一番の近道です。