Windows 8で企業システムはどう変わる?!

Windows 8という変革

Windows 8によってMicrosoftは、タブレットとクラウドに対応したWindowsプラットフォームを実現しました。Windows 8ではユーザインタフェースが大きく変わり、Windows 8搭載ノートPCの多くにタッチパネルが搭載され、Microsoft自身もSurfaceというタブレット端末をリリースするなど、Windows 7時代以前のコンピューティングとは一線を画す変化を遂げています。

業務システムとしてのWindows

これまでWindowsは、もっともメジャーなデファクトスタンダードのOSとして、世界中で多くのエンドユーザにパーソナルコンピューティング環境として利用されるだけでなく、法人市場においても、非常に多くの企業、とくに中小規模システムにおいて開発・導入されてきました。ASP.NETなどによるWebシステムのような、現在も提供されているアーキテクチャのシステムだけでなく、古くからあるVisual Basic(VB)ベースのクライアント/サーバアプリケーションも、現在も非常に多く利用されており、今後も長く利用されていくことも考えられます。一般に企業システムでは、新しいバージョンのOSがリリースされたからといってすぐにシステムが入れ替えられるといったことは少なく、実際には、業務を円滑に運用することのほうが圧倒的に優先されるのが一般的です。そうした状況下で長らく、Windows XPなどの安定感のあるOSが利用され、VBベースのアプリケーションなども便利に使われてきました。

そうした状況を熟知しているMicrosoftが、過去の資産を捨てる勢いでリリースしたOSこそがWindows 8であり、Windows OSとExcel、Wordという強固なキラーアプリケーションを持っているがゆえに長らく、大きな変化が難しかったMicrosoftによる自己革新の試みともいえるのがWindows 8ということができます。

それでは、Windows 8は企業システムではどのように利用されていくのでしょうか。まずは、タブレットのようなデバイスが優位性を発揮してくれる対人接客業務など、すぐにでもWindows 8のポテンシャルが活かせるシステムから徐々に利用が広まるといったことが考えられます。またWindowsストアアプリはその名のとおり、Windowsストアと呼ばれるアプリケーションストアで公開・販売されますので、ニーズの高いアプリケーションはこうしたしくみによっても普及していくことが考えられます。

エンジニアにとってのWindows 8

システム構築を手がけるエンジニアは、Windows 8にどういうスタンスで関わっていくとよいでしょうか。エンジニアには、業務システムに関する現場でのニーズを汲み取りながら、最新テクノロジを適切に適用したシステム開発を行うことができるスキルが求められます。従来からの技術をこのまま利用するのがよいか、あるいはタブレット、クラウドといった新しいパラダイムの環境に移行するか、さらには従来型の技術と新しいパラダイムの技術を組み合わせて利用するのがよいか、そうした見極めをしながら、ユーザに最適な環境を提供することが求められていると言えます。

Windows 8[業務アプリ]開発読本は、こうしたエンジニアに役立つさまざまな情報をまとめてお届けするムックです。ストアアプリとデスクトップアプリの特徴、優位性、使い分けなどを考える「Windows 8で業務アプリはどう変わる?⁠⁠、ストアアプリ開発について、Visual Studio Expressによる入門からストアアプリのアーキテクチャにあった開発のツボ、UI設計の定石、タッチデバイス対応のポイントなどを解き明かす「はじめよう! Windows ストア業務アプリ開発入門⁠⁠、Windows 8ベースの業務システム構築に重要な技術を解説した「エバンジェリストが考えるWindows 8時代の業務システム開発⁠⁠、⁠クラサバ・ASP.NETシステム開発者のためのWindows 8時代に残すべき技術、捨てざるを得ない技術」など、現場で活躍するエンジニアが今、読んでおきたい特集・記事満載でお届けします。

Windows 8のスタート画面
Windows 8のスタート画面