Androidエンジニアの実務に役立つオムニバス本
本書は月刊誌『Software Design』での連載記事をベースにしており、さまざまな立場の開発者がAndroidエンジニアに伝えたいテーマをコンパクトにまとめています。本書だけでAndroidアプリが作れるようになったり、ハードウェアの制御ができるようになるわけではありませんが、日々の開発業務に追われてフォローできていなかったことや、別の視点での発見によって、これまで以上に効率よく、そして楽しくAndroidと付き合えるようになる話題が詰め込んであります。
Chapter 1の見所~その開発環境もっと便利にできます!
Chapter 1では、Androidアプリ開発に欠かせないEclipse+Android SDKのお勧め機能を解説しています。
InstrumentationTestCaseよりも高度なUI操作テストが行える「UI Automator」 、コンパイルで表出しない潜在的なエラーを検出する「Lint」 、x86プロセッサ用に高速化された「x86版Androidエミュレータ」 、UIデザインの支援ツール「Graphical Layout Editor」 、「 ADB」の便利なコマンドをピックアップ。
また「Dalvik Debug Monitor Server」を使ったパフォーマンス測定方法の詳しい解説とサンプルを使った改善例は、アプリの品質向上にきっと役立つでしょう。さらに、アプリ開発の最終段階で欠かせない実機テストで使用する、開発者オプションについてもわかりやすくまとめました。
Graphical Layout Editorによる異なるスクリーンでのプレビュー
Chapter 2の見所~艱難辛苦を越えてきた知恵を拝借
納期や予算、旧バージョンのサポートなどの制約が厳しい受託開発。Chapter 2ではこの現場で闘っている執筆陣による、実地に基づいた開発手法の紹介をしています。これからAndroidアプリの開発を仕事にしようと考えている方にとっては、とくに読んでいただきたい内容です。
Chapter 3の見所~プラグイン対応アプリにして付加価値を
Chapter 3では、Twitterクライアント「twicca」と日本語入力アプリ「Simeji」を教材に、プラグイン対応アプリの作り方を解説しています。プラグインのしくみを自分のアプリに作っておけば、ほかの開発者にもアプリの魅力を増す手伝いをしてもらえるかもしれません。
Chapter 4の見所~開発言語も動作対象プラットフォームも選べる
AndroidアプリはJava言語でコーディングするのが基本ですが、Java以外の選択肢もあります。Chapter 4ではJava以外の言語で開発できる開発環境を紹介。記事ではとくに、Rubyで開発できる「Rhodes」を使ってみています。また、スマートフォンのみならず、コンシューマゲーム機の市場も販売ターゲットにできる「PlayStation Mobile Developer Program」も紹介しています。
Chapter 5の見所~ハードウェアにも強いエンジニアになろう
Chapter 5ではアプリ開発から少し離れ、ハードウェアを制御するためのソフトウェア開発の世界を紹介しています。USB接続やネットワーク経由での制御、あるいはKinectのようなインターフェースの制御などが行える様子を知ることで、ハードウェアにも興味を持っていただきたいです。
Chapter 6の見所~Googleエンジニアのコードで勉強できる!
初学者にはもちろんですが、すでにアプリ開発を行っている人にとっても、自身のコーディン技術向上のためにソースコードリーディングは役立ちます。Chapter 6では、オープンソースであるAndroidならではの勉強の仕方として、ホームアプリを題材に、ソースコードリーディングをお勧めしています。
以上、本書の見所をざっと紹介させていただきました。本書が時間のないAndroidエンジニア諸氏にとって、開発効率のアップや、知見を広げてもらえるものとなることを願っています。