デザイナーの必携ツール
デザイナーをめざす人にとって必携のツールといえば、PhotoshopそしてIllustatorというAdobe社製の2つのアプリ。この2つは、料理人にとっての包丁とでもいうべき、使えてあたりまえの「道具」といえます。
とはいえ、最新のCreative Cloudとなったこの2つのアプリは、通算のバージョンでPhotoshopは14、Illustratorは17です。包丁というよりも200種類くらいの機能がついた十得ナイフのように進化しており、いきなり使おうとしても目的の機能を探すだけでも一苦労します。初心者が体系だてて学習しようとしても、どこから手をつけていいのか途方に暮れてしまうはずです。
仕事に就くために求められるのは基礎力!
ひとくちにデザイナーといっても、活躍の分野は千差万別です。たとえば従来からの紙のグラフィックデザインと、先端技術と不可分のWebデザインでは、最適な成果物を得るために使う機能、そして習得すべき技術も変わってきます。
そういった個別の事情は現場で覚えていくことが前提で、仕事の最初から要求されることはありません。しかし、CMYKとRGBという最終出力形式の違い、解像度、データ容量といった条件は、前提として理解しておく必要があります。
仕事のスタートラインに立つために必要なのは、どんな現場でも共通して利用する通低した技術です。さしずめ料理なら、切る、焼く、煮る、蒸す、揚げる、炒める、茹でるなどといったところ。デザイナーを目指すなら、最低限は自分で身につけておきたいものです。Photoshopを例に見てみましょう。
- 選択範囲の指定が自在にできる
- 色の設定、描画の操作がスムーズにできる
- レイヤーの使い分けが適切にできる
この3つは、どんな仕事で使うにしても基本の「き」ともいえる技術です。さらに、
- 文字やパス、シェイプをスムーズに作成できる
- グラデーションとパターンを使いこなせる
- マスクを理解して切り抜きができる
- 数多くのフィルターから適切な種類を選べる
- レイヤースタイルで効率的にデザインできる
というところも、共通して要求される能力です。これらの土台となる能力をきっちり身につけた上で、「写真の色を補正する」「写真の修正・加工をする」「画像を合成する」「グラフィックデザインをつくる」「Webデザインを作る」という実践的な現場の仕事ができるようになります。
胸を張って「使えます!」といえるように
技術の習得には手を動かすことが一番ですが、包丁の練習にいきなり難しい料理のような例題を持ってこられると初心者は戸惑います。最初は「切る」「焼く」「煮る」といった目的を明確に、シンプルに練習できる作例が大切なのです。
「世界一わかりやすい教科書」はこの点にこだわり、機能やツールの初歩の初歩からはじめて、読み終わるころにはしっかりと基礎力がついているように、デザイナーをめざす人にとって本当に必要な技術を選んで15のレッスンを構成しました。
どこに行っても胸を張って「使えます!」といえる。そんなクリエイターへの道をこの本から踏み出しましょう。