Q&Aでわかる「超」基本!「クラウド」支える技術

ここ数年、世界規模の高速接続の発達、インターネットサービス/Web技術の発展に加え、PCや、スマートフォンをはじめとしたモバイルの普及による端末バリエーションの充実と、わたしたちを取り巻くコンピューティグ環境は一変し、とても便利になりました。そこにある要素技術を総合的に結び付けている「クラウドコンピューティング」⁠Cloud Computing⁠⁠。しかし、実際には、クラウドってどこで動いている? どんなマシンで処理する? といった技術的な側面については意外と触れる機会は少ないのではないでしょうか。

今、クラウドを支えるのはコンピュータの塊(かたまり)です。ここでは、クラウドコンピューティングを実現する技術の「超基本」を、Q&A形式でまとめてお届けします。

Q:クラウドマシンって、どんなもの? どこにあるの? できるだけ簡単にまとめて!
A:見た目は倉庫やビルの姿をしていて、その中で何万ものCPUが協調動作しているコンピュータ群です。広大な敷地が必要で、熱を発生しがちなので、涼しく土地を確保しやすいエリアに置かれることが多いです。ただし、ユーザから拠点が遠いと反応速度に影響があるなどの理由で例外も少なくありません。
Q:そもそもクラウドコンピューティングって?
A:大規模インターネットサービスを中心に形成されるコンピューティング形態の一つです。PCや小さなモバイルデバイスをはじめとした各種クライアント(サービスを利用する側)から、サービスを提供するサーバ側の計算資源(CPUやストレージ)を使用するというのは、幅広いユーザにとってとくに身近な例でしょう。とくに、サーバ側の大規模コンピュータ網を指す場合も多いです。
Q:クラウドでオススメのサービスって、何?
A:身近な例としては、Web検索や、メール、マップサービスなどです。常に最新の情報がサーバ側で生成/準備されていて、手軽にアクセスできます。従来、PCにアプリケーションを個別にインストールしていた、フォトサービスやお絵描き系、それからオフィス系のアプリケーションなども、手軽にアクセスするだけでアプリケーションの実行やデータの保存もでき、クラウドサービスで人気急上昇中です。どんなサービスがあるかも、検索ですぐにチェックできます。
Q:一言で言うと、クラウドのサーバって、何をしている?
A:大量のデータ処理が、おもな仕事です。
Q:クラウドのサーバマシンのハードウェアって、どうなっている?
A:汎用品のサーバクラスのマシンが使われています。ネットワーク機器やストレージ(データ保存場所)も、特別ではなくコンシューマ向け/企業向けの製品で構成されています。汎用製品は大量生産により、性能対価格比で圧倒的な優位に立つため、大量のマシンを使うクラウドでは、汎用品が幅広く選択される傾向があります。
Q:クラウドのサーバマシンのソフトウェアって、どうなっている?
A:大量のコンピュータを協調動作させる必要があるため、非常に複雑な問題をソフトウェアで解決しています。ただし、クラウドも巨大とは言えコンピュータに過ぎませんので、OSなどの基本ソフトウェア部分と、サービスを実現するアプリケーション部分というコンピュータとしての基本構成は当然同じです。その間にさらに層があり、たとえば大量のマシンを使うため、故障が頻発するので、故障の検出や回復部分は非常に重要で、それは基本ソフトウェアに近い基盤層で対応するなどします。アプリケーション部分では、多数の多様なユーザの同時接続への対応や、多様なサービスを提供するなど要件から、並列処理や更新の手間を考えた工夫が求められます。

実際には、クラウドには幅広い用途で使用されていて、その捉え方には、上記のほかにもパブリッククラウド/プライベートクラウドなどなど、さまざまなバリエーションがありますが、いずれにしても「クラウド」を実現するには総合的な技術が必要となります。とくに上記で触れていない「電力」は非常に大きな要件です。求められる知識の幅が広く、一つ一つが難しく見えますが、これらが作用し合って「システム」となり、クラウド上のサービスが形作られている、そんな様子がなんとなくでもイメージできたでしょうか。