スマートフォンゲームの隆盛
ひと昔前、コンピューターゲームは、家庭用ゲーム機を購入して自宅でプレイするもので、外出時にゲームをしたい場合も携帯型ゲーム機を持ち運んで遊ぶのが当たり前でした。現在も、そのような遊び方は変わらずあるものの、スマートフォンが普及したことで、音楽やゲームも「スマホで」というスタイルが主流となっています。つまり、専用のゲーム機を持っていなくても、スマホ(またはタブレット)で手軽にゲームを楽しむことができるようになりました。
一大ブームを巻き起こした『パズル&ドラゴンズ』 、『 モンスターストライク』 、『 キャンディクラッシュ』はじめ、スマートフォンゲームは隆盛を極め、売り切り型でない、free to play(基本プレイ無料)でのアイテム課金やアプリ内広告などのあらたなビジネスモデルが導入され、数年が経過しています。
敷居の下がったゲームプログラミング
また、開発現場では、少~中人数で開発するゲームから、大規模なチーム、環境を必要とする大型タイトルまで、各種ハードの性能やゲーム内容に合わせて制作されています。さらに、ここ数年はゲーム開発環境が多数登場し、いままで「会社」という単位が主流だったところが、個人や初心者でも簡単に行うことができるようになっています。「 cocos2d-x」や「Unity」 、「 Unreal Engine4」などさまざまなゲームエンジンが発達し、いままで個人では不可能だった、プロと同等の環境が安価で手軽に利用できるのです。さらに公開や配布もスムーズになり、チャレンジの敷居も下がりました。そのため、世界中の人々に自分の作ったゲームを遊んでもらうことが可能です。一攫千金とはいいませんが、個人開発のゲームが企業の目にとまり、あらたなハードウェアでの製品化といったチャンスもあります。
「cocos2d-x」でゲーム開発!
本書では、ゲームフレームワーク「cocos2d-x」を使用して、2Dのスマートフォンゲームを制作します。非常に手間なクロスプラットフォーム化(iOSやAndroid)や細かな処理の実装を省くことで、よりシンプルに、容易にゲームをまとめあげていくことができます。
プログラミングはC++をベースにした解説ですが、ゲームを制作する際の基礎的な解説が多く盛り込まれており、
①サンプルゲームをプレイする
↓
②書籍でコードを読んで理解を進める
↓
③演出を加えていく
ことで、C++がはじめてという人でも、参考書を手元に置きながら、ゲーム開発を進めることも可能です。
カジュアルゲームと呼ばれる「シンプル&簡単&短時間で遊ぶ」ゲームを3種類制作(開発中の解説画面です)
本書で実際のゲーム開発を体験することで、「 どうやったら自分のアイデアをゲームに落とし込めるか」「 どんな調整をしたらおもしろくなるのか」を考え、ぜひ自分ならではのゲームを作ってみてはいかがでしょうか。
本書で制作したサンプルゲームを遊んでみよう(無料配布)
『かわずたんキャッチ!』
『かわずたんジェット!』
『かわずたんクラッシュ!』
(中略)
本書では、ゲーム全体の設計やメモリ管理の仕組み、レベルデザイン、ゲームアルゴリズムなど、開発環境を問わずに普遍的に扱えるゲームの作り方のエッセンスを詰め込みました。
また、このほか、無料や安価で利用できる外部ツールなどを広く紹介することで、まったくの初学者から既にcocos2d-xの利用経験がある方まで、ゲーム開発者の方に幅広く有用な知識をお届けしています。
本書がスマートフォンゲーム開発を志す、すべてのゲーム開発者の一助となれば幸いです。
著者・三木康暉氏のコメント(「 はじめに」より抜粋)